【日本S】石川遼“直角パット”V字描いた3差5位 大混戦4差16人「誰が勝つか分からない」


7番でティーショットを放つ石川。最終日は首位と3打差から逆転優勝を狙う(カメラ・竜田 卓)

7番でティーショットを放つ石川。最終日は首位と3打差から逆転優勝を狙う(カメラ・竜田 卓)

 ◆報知新聞社主催男子プロゴルフツアー今季最終戦日本シリーズJTカップ第3日(1日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 石川遼(27)=カシオ=が名物ホールの最終18番パー3で、2メートルのフックを“直角パット”で沈めるスーパーパーを披露した。2位から出て、バーディーなしの1ボギー、71で3アンダー5位に後退したが、首位と3打差に踏みとどまった。年内最後のラウンドとなる最終日に向け、逆転での選手会長メジャー優勝に可能性を残した。ファンへ1年間の感謝の意味も込め、新たなドラマを描く。

 数々のドラマを生んだ18番で、石川が主役を演じた。第1打を左ラフに外し、ウェッジの2打目でピン右2メートルへ。じっくりと時間をかけて傾斜を読み、カップに背を向けて慎重にパーパットを放った。山なりの弧を描いたボールが吸い込まれ、すり鉢状の芝生席から見守った観客から大歓声が起こった。

 「(軌道はほぼ)直角でした。3メートル半くらいは転がった。パーセーブできるとは思わなかった」。右手を上げると、それまでこわばった表情を緩めた。同組で賞金王が確定的な今平も「あの位置からパーを取った人はいないのでは」と、この日の最難関ホール(平均3・433)でのパーをたたえた。

 最も易しい17番パー5(同4・367)で2日連続の3パットでバーディーを逃していた石川は「最後の2ホールは体力的、精神的に疲れた。18番でチャラというか、何とかボギーにならずに済んだ」と振り返った。

 今大会出場10度目、38ラウンド目(11年大会は3日目が雨で中止のため3日間に短縮)で初めてのバーディーなし。2日目まで同じ68、68で優勝した2015年は3日目に63を記録した。だが、この日は前半で3度、2メートルの好機を逃し、ファンを喜ばせることができずにいたが、最終の最後に千両役者が盛り上げ、3打差5位で3年ぶりの優勝に望みをつないだ。

 米ツアーに本格参戦した13年から毎日、A4サイズのゴルフノートを書いている。1年に2、3冊にのぼり、今では10冊を超えた。選手会長になり、多忙な日々を過ごした今季も変わらずに記し、自分と向き合う。「以前は技術的なことが多かったけど、最近はメンタルのことが増えた」。考えを文字にして、次のラウンドにつなげている。

 最終日に向けて「ファンの皆さんに『今年1年ありがとうございました』という感謝の気持ちで回りたい」と選手会長らしい抱負を語った。4打差以内に16人がひしめく大混戦へ「誰が勝つか分からない。やっている方からすると相当シビアな戦い」と、気を引き締めた。昨年の試合後は、宮里が選手会長のスピーチと優勝スピーチを同時に行った。「それより、明日のプレーの方が緊張する」と石川。この日の“一打”を猛チャージにつなげる。(岩原 正幸)

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