上田桃子、逆転Vで13年ぶり日本人開幕3連勝 前夜中指に謎の激痛も耐え2季ぶり通算14勝


 ◆女子プロゴルフツアー Tポイント×ENEOS最終日(24日、大阪・茨木国際GC=6219ヤード、パー71)

 1打差2位から出た上田桃子(32)=かんぽ生命=が5バーディー、3ボギーの69で回り、通算6アンダーで逆転優勝した。日本人の開幕3連勝は2006年以来13年ぶり。前夜(23日)に右手中指痛を発症する逆境の中、今季自身がテーマに掲げる「心の強さ」を発揮。17年10月のマスターズGCレディース以来、2季ぶりの通算14勝目をつかんだ。

 上田は優勝をスコア提出所で知った。1つ後の最終組で回る申ジエ(韓国)が72でホールアウト。涙はない。「まさかまさかです。こんなに(右手)中指が痛くなったのもまさか。勝てたのもまさか」と目を丸くした。

 前日(23日)深夜、眠りについてしばらくすると、原因不明の激痛で目が覚めた。「ズキンとなって、指が動かない。何でこんないい位置(1打差2位)で回れる時に…」。朝は化粧もせずにコースに来た。練習は約20球。母・八重子さん(69)、伊藤久トレーナーからは「最善を尽くしてダメなら仕方ない」と諭された。「骨が折れたかと思った。中指はグリップにつけられない」と、痛み止めを服用しての逆境で支えになったのは、テーマに掲げる心の強さだった。

 周囲から「技術はあるのに…」と言われるたびに悔しい思いをする。3日間でパーオン率85%(2位)のショット力は誰もが認める。「心・技・体の充実」と繰り返し口にした。この日は「体」が整わない中でも「心」で補った。昨季終了後、辻村明志コーチ(43)に「心の成長に取り組みたい」と宣言。オフのハワイ合宿では腐ったり、落ち込みそうな時にもグッと耐えた。

 開幕前日(21日)は、著書などに影響を受けた大リーグのイチロー外野手の引退試合を、中指を痛める直前の23日夜はフィギュアスケート・羽生結弦の世界選手権銀メダルを、いずれもテレビ観戦して“2大レジェンド”から勇気をもらった。「勝負の世界の厳しさを感じた」。9番のボギーで3打差をつけられたが諦めず、14番で8メートルのフックラインをねじ込むと右拳を握り、申の“自滅”を呼び込んだ。

 開幕戦の比嘉真美子、前週の鈴木愛に続き、13年ぶりに日本人が開幕3連勝を達成した。「しんどかった」と吐露した32歳は「まだまだ(若手に)負けないぞ。去年勝てなかった分、たくさん勝ちたい」と晴れやかな表情で語った。(岩原 正幸)

 ◆日本人の開幕3連勝 2006年の開幕戦・ダイキンオーキッドレディスの西塚美希世、2戦目・アコーディアレディスの不動裕理、3戦目・近未来通信クイーンズオープンの飯島茜が達成して以来、13年ぶり。当時は4戦目・スタジオアリス女子オープンで李知姫(韓国)が優勝。

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