◆米男子プロゴルフツアー メジャー第1戦 マスターズ第1日(11日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC)
【オーガスタ11日=榎本友一】日本男子初のメジャー制覇を狙う松山英樹(27)=LEXUS=は3バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの3オーバー、75で首位と9打差の63位と出遅れた。過去の大会初日終了時点での最大逆転劇は7打差と極めて厳しい状況。それでもラウンド後、世界屈指の名コーチに相談しながら約2時間半の打ち込みを敢行し、懸命にスイング調整。新パターを投入してグリーン上では成果を上げ、世界屈指の精度を誇るショットを取り戻せばビッグスコアの可能性を秘める。
病み上がりの日本のエースに、世界屈指の美しさと難度を誇る緑豊かなコースが牙をむいた。松山はフェアウェーキープ率35・71%で全体83位。さらにパーオン率も50%で66位。「スイングが良くないんじゃないかなって感じですね。なかなかうまく攻めることができなくて、停滞したままだった」。ピンが難しい位置に切られて高精度のショットが求められた中、風邪で寝込んで練習できなかった前週の調整遅れが響いた。
立ち上がりは最悪だった。1、2番ともフェアウェー右の深いバンカーへ。3番は右の林に入り、第2打が木に当たった。大会通算27ラウンド目で自身初の3連続ボギー発進。「パーが取れないのかなと思った」と世界屈指のショットの名手は首をかしげた。それでも見せ場は作った。今年から40ヤード距離が延びた495ヤードの5番パー4だ。312ヤードのビッグドライブで右のフェアウェーへ運ぶと、残り194ヤードから6アイアンでの第2打を、ピン右60センチへつけて今大会初バーディー。この日難易度4番目で、バーディーは18ホール最少の4人しかいない“モンスターホール”で大喝采を浴びた。
今季苦しんできたグリーン上でもさえを見せた。従来のエースパターと同じ「スコッティーキャメロン」の新パターを実戦初投入。同じピン型だが、普段のオールマイティーなタイプから、よりショートパットに適したモデルに変更して計28パット。全体12位と超高速グリーンにしっかり適応した。
過去82回大会で、初日終了時点での最大逆転Vは90年のニック・ファルド(英国)、05年のタイガー・ウッズ(米国)の7打差。9打差はデータ上はV圏外となるが、諦める気持ちはみじんもない。「明日しっかりアンダーパーで回って、少しでもチャンスのある位置に持っていけたら」と第1R後、練習場へ直行。たびたび助言を受けている世界的名コーチ、ピート・コーウェン氏の指導も仰ぎながら約2時間半、懸命にスイングを調整した。本来のスイングを取り戻し、残り54ホールで歴史を塗り替えてみせる。