「おいおい、ここでジャンプするか?ミニスカートじゃん」サービスを忘れない成田美寿々が東京五輪出場にこわだる理由


ヤマハレディース葛城で逆転優勝し、青空をバックに大の字ジャンプで喜んだ成田美寿々は、

ヤマハレディース葛城で逆転優勝し、青空をバックに大の字ジャンプで喜んだ成田美寿々は、

 「おいおい、ここでジャンプするか?ミニスカートじゃん!大丈夫だったか?」

 女子プロゴルフツアーのヤマハレディース葛城最終日、4打差を逆転し今季初勝利を飾った成田美寿々(26)=オンワードホールディングス=は、ウイニングパットを沈めると右手を突き上げド派手にガッツポーズ。その直後の中継局インタビューを終えた時に”事件”は起こった。万歳する成田に群がり撮影するカメラマン、「もっと元気良くお願い!」と声がかかると『ヨッシャ!任せろ!』ってな感じで大の字ジャンプの大サービス。目の前のベストポジションで撮影していた私は、あまりに近すぎて足をフレームの外に切ってしまう大失態。これじゃせっかくの写真がジャンプしてるように見えない…。ゴルフ取材歴20年、こんなパフォーマンスは見たこと無い。

 成田はサービス精神も枠にとらわれない。今大会3日目、69の好スコアで3位タイに浮上しプレスルームに呼ばれた成田は、パターを中尺クリップのものに変えて調子が上向いたきっかけを「(元世界ランク1位の)アリヤ・ジュタヌガーン=タイ=が夢に出てきて『これ使ってみなよ』と”お告げ”してくれたおかげ」とか、「今週は2パット星人になる」など、キャッチーなコメントでメディア関係者を喜ばせた。過去には美人プロの香妻琴乃や藤田光里の優勝を阻み「カワイコちゃんハンター」の名言を残したりもした。

 表彰式を終えるとそこは成田の独壇場だ。トロフィーに笑顔でポーズは当たり前、副賞のボートの船首に立ち、映画「タイタニック」の名場面よろしく両手を広げて「誰か抱きしめて~」と周囲を笑わせる。もう一つの副賞・グランドピアノの撮影では足を組んでセクシーなポーズを決めたりもした。

 成田の優勝には何度も立ち会っているが、昨年、富士通レディースの優勝ではグリーンサイドで宝塚歌劇団・花組のポーズを披露。その後プレスインタビューを終えるとカメラマンルームに立ち寄り「いい写真を(ネットや紙面に)バンバンアップして下さいね」と、そんな気遣いも出来る。メディアを巻き込み、人柄で仲間を引きつけ、流れを自分に引き寄せる、そんな選手だ。

 常々「スポーツではオリンピックが最高の名誉」と語り五輪出場へ意欲を見せる成田。2020年の東京開催がまだ決まっていなかった12年に初優勝した富士通レディースでは、「オリンピックで金メダルを取れたら。国民誰もが知っている日本のスターになって、人間的にも良い選手になりたいです」と語っていた。

 彼女はもはやLPGAには欠かせない、人気も実力も兼ね備えたスタープレーヤーだ。しかしまだ、国民誰もが知っている存在ではない。それは東京五輪に出場して金メダルを取ればかなうだろう。出場条件は来年6月末までに世界ランク上位2枠に入る事。現在51位で日本人4番手、成田は今シーズン年間5勝を目指している。この勢いを持続して、勝って勝って勝ちまくれ。東京五輪へ向けてまた大きなジャンプを見せて欲しい。(記者コラム 写真部・今西 淳)

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