驚異のエージシューター田中菊雄の世界114 武藤一彦のコラムー驚異の12アンダーラウンド


 田中名人のエージシュート記録を飾る12アンダーは19年5月5日、新潟・紫雲GC加治川コースで生まれた。田中さんは、6271ヤード、パー72の同コースを35、37の72のパープレーの好内容、自己の通算回数を436回に伸ばした。84歳に対して12アンダーの自己最多アンダー記録の快挙は、6バーディー、4ボギー、1ダブルボギーとかつてない高レベル。同時に連続記録を17回と希望をつなぐ快挙となった。

 

 アウトを3バーディー、2ボギーの猛攻だった。スタート直後の1番、3パットのボギーも3番141ヤードのパー3。ウエッジショットをホールインワンか、と思わせる会心のショットで20センチにつけるバーディー。
 6番パー5でショットが曲がり、5オン、2メートルを沈めボギーとしたが、7番146ヤードのパー3、またもカップ40センチにつけるバーディーでとりかえした。そしてイーブンパーで迎えた9番だ。ティーショットは会心の当たりでフェアウエー、セカンドショットをピン1メートルにつけ前半だけで3バーディーは見事だった。
 昼食後も好調は続いた。
 10番、第2打を1メートルにつけるバーディーで2アンダー。11番パー4は、日本海沿いの赤松の林の中で苦戦、ダブルボギー。だが、13番パー5は第3打を2メートルにつけバーディー、再びアンダーパーとなった。
 「アマチュアですからアンダーはめったに出ない。チャンスが来た。アンダーパーで上がることだけに集中した」好調なゴルフにアンダーパーフィニッシュの夢をのせて果敢に攻めた。
 14番3パットのボギー。だが、15番、6アイアンのショットを左へひっかけ3オンに失敗した後、30ヤードからのアプローチをチップイン、6つ目のバーディーがきた。16番をボギーとしたが、残り2ホールをパーオンに成功しインを37のトータル72で上がった。

 

 紫雲は08年日本女子オープンの舞台となった名門。韓国のベテラン、李知姫がプロ3年目の宮里藍を4アンダー、1打差で破ったことで知られる難コース。
 田中さん「6バーディーはアイアンショットの勝利だ」と言った。東京を立つ前日のラウンドで浪崎プロから「バックスイングで左肩を入れ、トップから素直にボールを打つように」といわれた。バックスイングが生命の田中スイングだが、トップからの切り返しで手が外から、遠回りする欠点を指摘された。

 

 「インサイドに肩を入れトップで手首のコックを思い切り入れるようにしたらアイアンが気持ちよく打てた。ショートアイアンがゴルフを始めて以来、いい感覚。今回のバーディーの多さがその証明だ」と明るかった。
 パーオンして2パットもパーなら、3オン1パットもパー。パワーのなくなったシニアのゴルフは3打目が勝負という田中ゴルフである。「リカバリーの効かない3打目でミスがなくなって欠点がなくなった。6バーディーはショートアイアン効果です」と明るかった。
 新潟では3コースを全部エージシュート。連続エージシュート記録も17回。帰京した田中さん、7日はよみうりGCの「火曜会」でベスグロの81、8日、木更津に足を延ばし38、45の83で連続のエージシュート、連続記録を19回。通算記録は438回と大幅に伸びた。

 

紫雲GC加治川コース(新潟)

HOLE123456789OUT 
PAR44354534436 
SCORE54254624335 
HOLE101112131415161718INTOTAL
PAR4435344453672
SCORE3634435453772

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。84歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。