堀川未来夢、メジャーで初V 完全で決めた「楽しい優勝争い」で全英初切符


通算15アンダーでツアー初優勝を飾り、祝福される堀川未来夢(カメラ・今西 淳)

通算15アンダーでツアー初優勝を飾り、祝福される堀川未来夢(カメラ・今西 淳)

 ◆男子プロゴルフツアーメジャー第1戦 日本ツアー選手権森ビル杯 最終日(9日、茨城・宍戸ヒルズCC)

 ツアー参戦5年目の堀川未来夢(26)=Wave Energy=が5バーディー、2ボギーの68で回り、通算15アンダーで完全優勝。ツアー初優勝をメジャーで飾った(史上26人目)。2位となった昨季賞金王の今平周吾(26)=フリー=を4打差で振り切った。堀川は5年シードに加え、賞金ランク3位に浮上し、上位者の資格で7月の全英オープン初切符を獲得した。

 国内メジャー制覇の喜びは格別だった。堀川は18番で1メートルのパーパットを沈め右拳を2度振った。「口から心臓が出そうなほど緊張した。(惜敗が続いた)去年終盤戦の悔しさを思い出し、手が震えそうになった」。日大の先輩、片山晋呉(46)らにウォーターシャワーの祝福を受け「優勝ってこんなに気持ちいいんだ」と声を弾ませた。

 小学生時代から互いを知り、「雲の上の存在だった」今平との最終日最終組での直接対決。15番で今平がイーグルを取り3打差に迫られた。直後に堀川が2メートルのバーディーパットを決め、勝利を引き寄せた。「何打リードしても気が抜けなかった。楽しい優勝争いができた」。昨年、自己最高の賞金ランク19位も、トップには今平がいた。昨季は「かなわない」と思った存在より先にメジャーを制した。

 14年11月のプロ転向時から14キロ増量し、体重は85キロに。飛距離もこの1年で15ヤード伸びたが「優勝してないのは初日に3パットが多かったから」と、入念なデータ分析からショートゲームの向上を図った。清水重憲キャディー(44)の助言で距離感を合わせる練習を徹底。4日間の平均パット1・5652(1位)と、マッチョな体とは裏腹に小技が生命線となった。

 次週の全米オープン、今回出場権を得た全英オープン、世界選手権フェデックス・セントジュード・クラシック(7月、米国)には今平と出場する。優勝で9日夜に予定していた渡米が一日ずれた「うれしい誤算」もあるが、「一緒に出るのは不思議な感覚だけど、うれしい。少しずつ対等に戦えるようになっている」と手応えを口にした。

 これまでは初優勝が“未来の夢”だったが、5年シードを手に入れ「賞金王も視野に入れて。アジア、欧州から海外にも出たい」と広がった。同学年との良きライバル関係を力に変え、未来へ羽ばたく。(岩原 正幸)

 ◆堀川 未来夢(ほりかわ・みくむ)

 ▽名前の由来 「未来に夢を持ってほしい」と父が命名。「ギャラリーに覚えてもらえるので感謝している」。家族は両親と兄。

 ▽学生と合宿 2~3月のオフは母校の日大ゴルフ部でコーチを務め、学生と汗を流す。「気持ちが引き締まる」

 ▽笑顔で楽しく ラウンド中、笑顔を心掛けるのは幼少時にスコアを付けずに回った経験が生きている。「心の中では緊張しても、自然と笑っている」

 ▽得意技 グリーン上での「ライン読み」。学生時代にキャディーをしており、シニアプロの三好隆(67)から指名が入ったことも。「プロキャディーの道はありますね(笑い)」

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