石川遼、メジャー初首位発進「ドライバーからパターまで」絶好調


11番、ティーショットを放つ石川遼(カメラ・谷口 健二)

11番、ティーショットを放つ石川遼(カメラ・谷口 健二)

 ◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアーメジャー第2戦 第87回日本プロ選手権 第1日(5日、鹿児島・いぶすきGC=7212ヤード、パー71)

 ツアー通算14勝の石川遼選手会長(27)=カシオ=がショット、パットともにさえて7バーディー、1ボギーで今季&大会自己最少スコアの6アンダー、65をマーク。メジャーでは自身初となる首位発進を決めた。過去、国内ツアー6度の首位発進で3勝を挙げており、大雨の影響で開催も危ぶまれた大会で、15年日本シリーズJTカップに続くメジャー2勝目への期待が高まった。通算18勝の藤田寛之(50)=葛城GC=、同3勝の黄重坤(27)=韓国=も6アンダーの首位。

 開催の危ぶまれた日本最古のメジャーを、責任感の強い選手会長がプレーで盛り上げた。石川がメジャー初の首位発進だ。最終9番。11メートルのバーディーパットを沈めると歓声の中、右拳を突き出した。今季自己ベスト&大会自己最少の65。「特別なことをやっている感じはない。ドライバーからパターまでの感覚が安定している」と記者会見場で充実の笑みを浮かべた。

 ツアーでは初のぶっつけ本番だった。3日までの大雨で、大会前に練習ラウンドはできず。外出は避け、宿舎で静養。テレビで鹿児島県の豪雨被害に心を痛めていた。4日に指宿市周辺の避難勧告が解除され、大会開催が決定すると「ベストを尽くしたい」と気持ちを切り替えた。「危機管理能力というか、回ったことのないコースは自分の見える範囲に打っていきたい」とプロ12年で培った感覚を信じた。1番では左OBが出たものの、フェアウェーキープ率は71・43%で全体12位。パーオン率は72・22%で40位と堅実なショットを軸にスコアを作った。

 前週からツアーに北川尚史トレーナーを帯同。ケアを受けながらトレーニングも積む。腰痛再発防止に励み、安定感のある力強いスイングが戻りつつある。出だしの10番は350ヤード越えのビッグドライブから、4メートルを沈めてバーディー発進。14番も350ヤード近く飛ばしてフェアウェーをとらえ、4メートルを決めて伸ばした。

 同組の日本プロゴルフ協会・倉本昌弘会長(63)も石川の復調ぶりに目を細めた。「(腰痛で棄権した5月の)中日クラウンズに比べたらはるかにいい。アイアンショットの精度が高くなって、入れたい距離のパットも入れていた。我々としても取ってほしい」とメジャー2勝目を期待した。

 7日に第3R、最終Rの計36ホールを実施する可能性が浮上。実現すれば石川が史上最年少でアマチュアVを飾った07年マンシングウェアKSBカップ以来だ。「(起伏の激しい)このコースで36ホールは体力勝負。知っていたら開聞岳を登って鍛えていたと思います」と27歳は余裕の笑み。首位発進大会は6戦3勝。毎年開催会場が変わる日本プロは、7度の出場で予選落ち5度と鬼門だったが「今年は頑張りたい」。勢いに乗って約3年ぶりの15勝目に挑む。(榎本 友一)

 ◆石川遼の苦闘

 ▼16年8月 主戦場の米ツアーから帰国参戦したRIZAP・KBCオーガスタで優勝。通算14勝目。

 ▼16年10月~17年8月 主戦場の米ツアーでティーショットの不振に陥り、20戦で12度の予選落ち。米ツアーのシードを喪失。

 ▼17年10~11月 ショットが曲がって自己ワーストの国内ツアー5戦連続の予選落ち。体の負担の少ないスイング改造に励む。

 ▼18年1月 ツアー史上最年少の選手会長に就任。

 ▼18年4月 2日間競技の地区オープン、千葉オープン、岐阜オープンで2連勝。国内ツアー開幕戦の東建ホームメイトカップで2位。

 ▼18年12月 日本シリーズJTカップで3人プレーオフの末、小平智に惜敗して2位。6年ぶり国内フル参戦もドライバーショットの不調が響き未勝利で賞金ランク22位。

 ▼19年4月 腰痛発症。国内ツアー開幕戦を欠場。

 ▼19年5月 中日クラウンズで腰痛から復帰も、第1Rで腰痛を再発して第2Rはプロ12年目で初の棄権。

 ▼19年6月 日本ツアー選手権森ビル杯で戦列復帰。今季最高20位。

 ◆富士山大会に強い!「薩摩富士」

 標高924メートルで「薩摩富士」の異名を持つ開聞岳の麓のコース。石川は不思議と世界遺産・富士山の麓の大会では強さを発揮してきた。09、10年フジサンケイクラシック(山梨)で連覇。10、12年の三井住友VISA太平洋マスターズ(静岡)で計4勝を挙げている。グリーンの目が富士山から順目などと言われ苦戦する選手も多い。今大会のグリーンも開聞岳から順目とされ苦戦する選手もいる中で、「(フジサンケイの)富士桜CCと同じで自分の足の裏の感覚で読むようにしています」と石川。この日好パットを連発して計25パット。“足裏の目”を研ぎ澄まし、富士山と同じプロゴルファー日本一の座へ上り詰める。(友)

最新のカテゴリー記事