小祝さくら初V ギャラリー沸かせた「お疲れサマンサ」 「黄金世代」から8人目の優勝者


通算17アンダーで初優勝を果たした小祝さくらは、同じ黄金世代の吉本ひかる(手前)と抱き合って喜んだ(カメラ・今西 淳)

通算17アンダーで初優勝を果たした小祝さくらは、同じ黄金世代の吉本ひかる(手前)と抱き合って喜んだ(カメラ・今西 淳)

 ◆女子プロゴルフツアー サマンサタバサレディース 最終日(21日、茨城・イーグルポイントGC=6601ヤード、パー72)

 首位と2打差の2位から出た小祝さくら(21)=ニトリ=が7バーディー、ボギーなしの65をマーク。大会新記録の通算17アンダーまで伸ばし、逆転で初優勝を飾った。1998年度生まれの「黄金世代」では8人目の優勝者。ほんわかムードが持ち味の道産子美人プロは待望の初Vにも涙なし。「お疲れサマンサ」。優勝スピーチでは大会名をかけたダジャレでギャラリーを沸かせた。1打差の2位は韓国のイ・ミニョン(27)=Qセルズ=。

 ヒリヒリするような優勝争いでも小祝はマイペースだった。韓国の実力者イ・ミニョンと壮絶なスコアの伸ばし合い。10番で首位に立った小祝はそのまま逃げ切った。10センチのウィニングパットを沈めた小祝は涙もガッツポーズもなく、照れ笑いするだけだった。

 「涙、出ませんでしたね。ウルッともしませんでした。ガッツポーズはどうやればいいか、分からなかった」

 感動と興奮が渦巻く中で、道産子美人プロは、普段と同じ“ほんわかムード”で人ごとのように話した。

 小祝自身はあくまでクールだが、初優勝までの戦いは熱かった。10番パー4。今大会初めてのボギーをたたいたイ・ミニョンに対し、小祝は残り151ヤードの第2打を7アイアンで4メートルにつけるバーディーで逆転。プロゴルフの世界で重要なサンデーバックナイン(最終日後半9ホール)で圧巻のプレーを演じた。

 「黄金世代」と呼ばれる98年度生まれ。昨季は2位4回、賞金ランク8位と躍進したが、優勝には届かなかった。勝みなみ、畑岡奈紗ら同学年選手が7人も優勝者となっている状況にも「焦らなかった」。マイペースを貫いた結果“シルバーメダルコレクター”を返上。黄金世代8人目の優勝者に名を連ねた。

 ホールアウト後も“小祝ワールド”全開だった。

 「皆さん、お疲れサマンサ」。優勝スピーチの第一声で大ギャラリーを沸かせた。

 インタビューで「人生で一番の喜び?」と問われると「BTS(韓国の男性ヒップホップグループ)のライブで前から2列目の席が当たった時の方がうれしかった」とマジメに答えた。

 正確なショット、安定したパットを誇る小祝の一番の持ち味は、ぶれないメンタル。ゴルフというスポーツで最高の武器になる。「東京五輪、出たいですね。特別な試合ですから」と大きな目標をサラリと明かした。日本勢9番手の世界ランク84位。日本女子ゴルフ界にニュータイプのヒロインが誕生した。(竹内 達朗)

 ◆小祝さくら(こいわい・さくら)

 ▽生年月日 1998年4月15日、21歳

 ▽出身地 北海道北広島市

 ▽ゴルフ歴 8歳の時、母・ひとみさん(39)とレッスンに通い始める。「まさかプロになれるとは思わなかった」(ひとみさん)

 ▽アマ戦績 2010、12、13、14年に北海道ジュニア優勝。14年北海道女子アマ優勝

 ▽プロテスト 飛鳥未来高卒業後の17年にぎりぎりの19位で一発合格

 ▽飛躍 初のツアー本格参戦となった18年、トップ10に13回も入り、7500万7442円の賞金をゲット。賞金ランク8位で初の賞金シードを獲得した

 ▽尊敬する選手 同じ高校の先輩・藤田光里(24)

 ▽趣味 ライブ、食べること

 ▽家族 母と弟

 ▽サイズ 158センチ、58キロ

 ◆小祝の優勝用具

 ▽1W=スリクソンZ785(ロフト角9・5度、シャフト45インチ、硬さS)▽3W=スリクソンZF85▽5、7W=ゼクシオ9▽4U=スリクソンZH85▽5~9I、PW=スリクソンZ585▽50、58度ウェッジ=クリーブランドRTX3▽パター=テーラーメイド・スパイダーX▽ボール=スリクソンXV(パター以外は住友ゴム工業)

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