渋野日向子、“神の手”で13位スマイル締め


8番、頭にトンボが止まる中、チップインバーディーを決め歓声に応える渋野日向子(カメラ・中島 傑)

8番、頭にトンボが止まる中、チップインバーディーを決め歓声に応える渋野日向子(カメラ・中島 傑)

 ◆女子プロゴルフツアー 北海道meijiカップ最終日(11日、北海道・札幌国際CC島松C)

 前週のAIG全英女子オープンで、日本女子2人目のメジャー制覇を成し遂げた渋野日向子(20)=RSK山陽放送=は72で回り、通算4アンダーの13位で凱旋試合を終えた。21ラウンド(R)ぶりのオーバーパーのピンチも、8番ではショットがギャラリー整理のアルバイトの手に当たって救われ、終盤の連続バーディーで切り抜けた。韓国のぺ・ソンウ(25)=Samchully=が通算12アンダーでプレーオフを制し、初優勝した。

 凱旋試合の最終日に、“スマイル・シンデレラ”の底力を見せつけた。最終18番。渋野の3メートルの上りのフックラインのパットが左縁からギリギリカップに収まると、大喝采の中で安どの笑み。「最後は入れなきゃいけないと思った。今日は本当に出入りが激しくて、イラッとする場面もありましたが17、18番のバーディーで吹っ切れました」と胸をなで下ろした。

 “神の手”に救われた。327ヤードの8番パー4だ。ドライバーで左に曲げて、ギャラリー整理アルバイトの男子北大生(20)の左手を直撃。続くアイアンでの第2打をグリーン手前へ。残り18ヤードからチップインバーディーを奪った。もし当たっていなければ、直接グリーンを狙えない左斜面の深いラフへと吸い込まれ、バーディーは困難。オーバーパーを打っていない連続R記録も途切れていた。北大生は「ビックリしました」と薬指と小指が紫色に腫れたが、救護テントで応急処置を受けた。関係者から話を聞いた渋野は、ホールアウト後に北大生の元を訪れ「すみませんでした」などと謝罪した。

 北の大地での“渋野劇場”は沸きに沸いた。ギャラリー数は7631人で、今の会場となって以降の大会最多記録を更新。3日間計1万6407人も同じく最多記録となった。

 4番でダブルボギー。それでも、子供を見つけると笑顔でハイタッチし、続く5番でバーディーを奪い返す。16番は、インコース(10~18番)では62ホールぶりとなるボギー。そこから驚異の連続バーディー締めに渋野は「ボギーを打った後に気合が入るんですかね。何くそという気持ちをティーショットやパターにぶつけています」と笑った。3度のバウンスバック劇を演じ、大歓声を浴びた。

 連続イーブンパー以上Rを21に伸ばし、次週もNEC軽井沢72(16日開幕)に出場する。賞金ランク2位は維持し「何もしたくないですね。ぼ~っとしたい」。つかの間の休みを挟み、ツアー史上最年少賞金女王への戦いは続く。(榎本 友一)

 ◆バウンスバック率 ボギー以下ホールの直後で、バーディー以上のスコアをマークする率(ボギー以下ホールがラウンドの最終ホールだった場合は除く)。日本女子プロゴルフ協会では規定ラウンド数を満たした選手のみが対象。渋野が26・8456%で1位。2位は河本結で23・2558%。3位はイ・ボミで22・7273%。

 ◆シブコに聞く

 ―大会を振り返って。

 「今日が一番、体的には楽でした。だんだんと動くようになっていったので。初日の熱は予想外でしたけど。体が動かない時にアンダーパーが出せて、動いている時にイーブンなので。なんでって感じですけど。何も考えていない方がスコアが出るのかなと思う」

 ―オーバーパーを打っていない連続R記録への思いは。

 「ありました。16番でボギーを打った時に思いました。17、18番はどっちも(バーディーを)取りにいきました。そこで取れるんだったらもっと最初から取っておけよという感じ。ダボもあったり、もったいないのがたくさんあったので」

 ―記録的な大観衆だった。

 「優勝してからの1週間はしんどい部分もありましたが、体調を気にしてくれるギャラリーさんがたくさんいて。『風邪引くなよ』と言われたり。『おめでとう』と言ってくださって。来て良かったなと思いました」

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