ハニカミ王子・石川遼が、スマイルシンデレラ・渋野日向子フィーバーに思うこと


笑顔でラウンドする石川遼

笑顔でラウンドする石川遼

 ◆男子プロゴルフツアー 長嶋茂雄招待セガサミーカップ プロアマ日(21日、北海道・ザノースカントリーGC=7178ヤード、パー72)

 14年大会王者の石川遼(27)=カシオ=が、プロアマ戦で最終調整した。7月の日本プロ選手権からの2戦連続優勝を目指す大会を前に、AIG全英女子オープンで日本女子42年ぶり2人目のメジャー制覇を成し遂げた渋野日向子(20)=RSK山陽放送=に対し、自らの体験談も踏まえてエールを送った。

 プロアマ戦後、報道陣から渋野について聞かれると、渋野が初優勝した5月のワールドレディスサロンパスカップをテレビ観戦していたことを明かした。「(最終日)最終組でぺ・ソンウさんと優勝争いをしていて。パットもすごくて衝撃でしたね」。

 ツアー初優勝を国内メジャーで飾ると、次の試合から渋野組のギャラリーは増加。さらに全英女子優勝後は飛躍的に増えている。「これだけ短期間で、一人の選手が連れて歩くギャラリーが増えることはないんじゃないかなと思います。ゴルフ界にとってはすごいことだと思いますし、素晴らしいことだと思います」と石川はうなずいた。

 自身は、高校1年生のアマチュアだった2007年に国内男子ツアーで初優勝し、“ハニカミ王子”旋風を巻き起こした。「僕は15歳の時にそうなりましたけど、15歳と20歳は全然違います。15歳は本当に子供なので、僕は周りからどう見られても、何を聞かれても全く気にならなかったです。少年だったのでカメラも全く気にならなかった。20歳は大人じゃないですか。周りも見えている選手だと思うので。正直、大人になってからこういう状況になる方が、考えることが増えてしまうんじゃないかなと思います。ただひたすら白いボールを追いかけることができた5歳の差で変わってくると思うので、僕の方が楽だったと思います」と渋野を気遣った。

 “スマイル・シンデレラ”として、一挙手一投足が注目を集めている渋野へのアドバイスを求められると「自分と同じ状況とは当てはめなかったんですよね。僕はアマチュアで日本ツアーで勝ったという注目のされ方で。彼女は国内ツアーの選手がメジャーチャンピオンになった訳で。それは、男子はまだ誰も成し遂げていないことなので」と独自の見解を冷静に口にした。

 「僕もまだ知らない世界ですし、彼女にしかわからない悩みがあると思います。僕は自分が食べている物までは注目されなかったので(笑い)。僕も笑っているところがフューチャーされた、という共通点はあるかもしれないですけど。それでも、食べている物までは毎日注目されなかったので少し悔しいなと思いますね」と、ジョークで報道陣を爆笑で包んだ。

 そんな中、大フィーバーの体験者にしかわからない、貴重な言葉でエールを送った。「今の渋野さんは大変だろうなって思います。でも既に彼女を目指している子もいるし、たくさんの人から応援されて、注目されている状況をうらやましく思う子もいる。それは忘れないで欲しい。たくさんのギャラリーの前でプレーできたり、メディアの方にも注目してもらったり、そういう風になりたいと思っているジュニアゴルファーはたくさんいると思います。そういう子が一人でもいるのであれば、自分はすごく恵まれた状況にいるな、と。渋野さんを目指してゴルフを始める子や、練習に打ち込んでいる子もいると思うので。大変な分、真逆な思いを持っている人がいるということを忘れないように。ボールには人の思いが乗っかると思う。応援されている方が僕は絶対に力になると思いますね」。

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