◆女子プロゴルフツアー 伊藤園レディス 最終日(17日、千葉・グレートアイランドC)
首位と1打差の3位から出た鈴木愛(25)=セールスフォース=が5バーディー、ボギーなしの67で回り、ツアー通算16勝目を挙げた。逆転で2007年の全美貞以来、ツアー史上2人目の3週連続優勝を達成。年間7勝は03年の不動裕理の10勝に続く歴代2位タイ。賞金ランクも1位に浮上し、17年以来の女王へ大きく前進した。また、18日に迫る米ツアーメンバーには持病を理由に登録しない方向で検討していることも明かした。
強さが際立った。18番パー4。13アンダーで首位に並ぶ大山志保がパーパットを沈めた姿を、鈴木はすぐ後組から見つめ、「プレーオフならやられると思った」。直後の第2打は池寄りのピン左2メートルのバーディーチャンスにピタリとつけた。ウィニングパットを落ち着いて沈めると、右拳を握った。今季7勝目で日本勢初の3週連続Vに「6勝? 7勝?って分からなくなった。偉業の2人目になれて本当にうれしい」と喜んだ。
賞金ランクも今大会8位に終わった申とは10月のマスターズGCレディース後に3817万3567円あったが、3連勝で一気に抜き去り、6月の2連勝以来、約5か月ぶりに首位に返り咲き。申に約775万円の差をつけ、「勝てて自信になった。ちょっとホッとした」と安どした。
米国東部時間の18日午後5時(日本時間19日午前7時)に来季の米ツアーメンバーへの登録期限が迫る。大会前は「気持ちは五分五分。一番怖いのは日米でシードをなくすこと」と話したが、この優勝で賞金女王に前進。3年シードが見えてきたものの、登録には消極的で「70%は日本にいる」と明かした。「中学から23歳ぐらいまでは米国に行きたかった。でも体調を考えると迷う」と心境を吐露した。
9月末から4試合を欠場した。ストレスを一因とする腹痛が2週間続いたことが理由の一つ。10月初旬に「こんなに痛みが続くのはおかしい」と病院に行くと、病気だったことが判明。病名は公表しなかったが、肉や油ものなど食事制限をしなければならず、完治には手術が必要。大会中も好物の焼き肉を控え、毎晩うどんで済ませた。「向こうに行くのは病気を考えると難しい」と慎重な姿勢だ。
2季ぶりの賞金女王奪還が現実味を帯びてきた。次戦は過去2位3度と得意な大王製紙エリエールレディス(愛媛)。「申さんとほとんど差はない。3連勝は忘れて気を抜かないでやる」。最後に最強を証明する。(宮下 京香)
◆賞金女王争いの行方 賞金ランク1位の鈴木と3位の渋野との差は約2431万円。渋野は残り2戦で連勝しても約1億6791万円。鈴木がいずれも単独2位以上(最終戦のリコー杯は出場人数が決まっていないため、昨年の配分で計算)なら渋野を上回るため、渋野に自力逆転女王の可能性はない。鈴木は次週の大王製紙エリエールレディスで優勝すれば、ランク2位の申が同大会で単独2位以上でも約1695万円差となり、女王へ大幅に近づく。