渋野日向子「ヤケクソ」チャージで初日自己最高に並ぶ2打差2位好発進


7番、バーディーパットがカップに蹴られ、驚いた表情を見せる渋野(カメラ・豊田 秀一)

7番、バーディーパットがカップに蹴られ、驚いた表情を見せる渋野(カメラ・豊田 秀一)

 ◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス第1日(21日、愛媛・エリエールGC松山=6580ヤード、パー72)

 前週、日米両ツアーで28戦ぶりとなる予選落ちを喫した渋野日向子(21)=RSK山陽放送=は7バーディー、1ダブルボギーの67で回り、5アンダーで首位と2打差、初日自己最高に並ぶ2位と好発進した。前半の17番パー5でダブルボギーをたたき、「クソヤロー」と奮起。賞金ランク3位からの逆転女王には無欲を貫き、得意の後半で5バーディーと巻き返した。通算1勝の森田遥(23)=フリー=が7アンダーで首位。

 女王争いの呪縛を自ら解き放った渋野が、持ち味を取り戻した。心のスイッチが入ったのは前半の17番だ。「“素(す)ダボ”。本当にダボの例」と、自虐的に笑った。「イーグルチャンスにできるようなホールで」4オン3パットのダブルボギー。「クソヤロー」と思ったことを明かし、悔しさを力に変えた。

 直後の18番でピンに絡めてバーディーを取り返す。ボギー以下のホールの直後でバーディー以上のスコアをマークするバウンスバック率は25・89%でツアー1位。「すぐにバーディーを取れたので、ここ数試合とは違うと思った。もうヤケクソ」。優勝した全英(8月)の全18アンダーを稼ぎ出した後半に強さを発揮。5つ伸ばし、「後半盛り返したのは久しぶり。やっとですよ」。この日最多に並ぶ7バーディーで2位につけた。

 前週は3月のアクサレディス以来の予選落ち。鈴木愛(25)と約2431万円差となり、「私の口から賞金女王って言っちゃいけない」と“終戦宣言”した。週末は岡山市に帰省し、父・悟さんと「久しぶりに真面目な話をした」という。「プレーではなく心持ち(の話)。全英勝ってから(話したこと)は多分なかった」とだけ語り、内容は明かさず自身の中にとどめた。悟さんは以前、「『プロは手ぶら(賞金0)で帰って来ちゃダメだ』くらいは言います」と話したこともあり、今回の“金言”も心に響いたようだ。

 渋野は「今までは『攻めの気持ちで頑張る』とは言ったけど、守っていたかも。賞金女王を考えすぎていた。今日みたいに(感情を)あらわにした方がいいかな」と、話した。今週の結果次第で賞金ランク2位に浮上し、次週の最終戦・ツアー選手権リコーカップ(優勝3000万円)を迎える可能性がある一方、最年少女王戴冠が消滅する恐れもある。それでも「何も考えていない。いいプレーを見せたい気持ちだけ」と、あくまで無欲を強調した。(岩原 正幸)

 ◆鈴木愛は4週連続Vへアイアン修正

 鈴木は首位と6打差の1アンダー36位で国内初の4週連続優勝へ暗雲が垂れ込めた。5バーディー、4ボギーと出入りが激しく、「ドタバタした一日。集中力があまりなかった。久しぶりにこんなにうまくいかなかった」と、うつむいた。2年ぶりの賞金女王へ残り2戦。「パットはいい。アイアンショットが悪かった」と、修正を誓った。

 申(鈴木を約775万円差で追う実力者は、10番のダブルボギー発進から67で2位)「自分への重圧より、たくさんの応援があるので力をもらっている」

 ◆賞金女王争い

 ▽渋野優勝の場合 申が16位以下なら渋野がランク2位に浮上。鈴木が予選落ちなら、約631万円差で最終戦を迎える

 ▽鈴木優勝の場合 渋野は2位(賞金880万円)でも女王の可能性が消滅

 ▽申優勝の場合 渋野が2位なら約2576万円差にとどまるが、逆転は限りなく厳しい

 ▽渋野が予選落ちした場合 鈴木が4位(600万円)以上に入ると、3000万円以上差がつくため、女王の可能性が消滅

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