◆男子プロゴルフツアーダンロップ・フェニックス第1日 21日、宮崎・フェニックスCC=7027ヤード、パー71
ツアー歴代最多94勝の尾崎将司(72)=I・S・T=が10番から出て、12ホール目の3番終了後に「腰痛のため」棄権した。プロ50年目の今季は、出場7戦で棄権が5。永久シード保持者は、来季は3戦限定出場プランを明かし現役続行に意欲を見せつつも、オフに「電撃発表で“終わり”も」と、引退の可能性も示唆した。14年大会覇者の松山英樹(27)=LEXUS=は5アンダー、66で2打差3位で発進した。ツアー1勝の張棟圭(31)=韓国=が7アンダーの単独首位。
プロ50年目のシーズンは大会初日に突然、終わりを告げた。ジャンボは3番終了後に「腰痛」で途中棄権。クラブハウス内で大勢の報道陣に囲まれると「スポーツ選手としての体力は10が一番上とすると、1しかないもん。大会をやるための準備が全くできない」と深いため息を吐いた。
これが自身の今季最終戦。来季については「今の構想からすれば相当試合を絞って出る。(5月の中日)クラウンズ、(9月の)全日空(ANAオープン)、(11月のダンロップ)フェニックス。この3試合は一応出ようかなと思っているけど、まだ今の時点ではわからん。仮に出るとすれば、3試合のための準備を1か月ぐらいかけて。もう『最後の覚悟』だな」と悲壮感を漂わせた。3戦とも最多優勝回数を誇る思い出深い大会だ。
昨年と同じく今季も7戦に出場したが、予選通過なし。今年2月のジュニアレッスン会では「(20年)東京五輪まで、というのは自分の中では頭に入っているよ」と来季までは現役続行の意思を示していた。一日200回の素振りなどを続けてきたが、持病の腰痛に悩まされ続けた。「体技心の体がないのよ。何かをやるとどこかが痛くなる。50年やると、無理かな。電撃発表で“終わり”ってことだってあり得る。気力があるかどうかだな」と今オフの引退の可能性にも初言及した。
この日は、14番で4オン3パットのトリプルボギーなどイン9ホールを47。「俺についてきているギャラリーに入場料をお返ししたいよ」と自虐的に笑った。「ゴルフに対する情熱が今までとはだいぶ違う。意欲がこれだけなくなってくるとちょっと苦しい。モチベーションは『自分はゴルフしかできない』『ゴルフが大好きだ』という2点。その2点がもうだいぶ曇っているから」。72歳のレジェンドは、報道陣に「もう君たちと会うのも最後かもしれないね」と意味深な笑みを見せ、会場を後にした。(榎本 友一)
◆尾崎 将司(おざき・まさし)1947年1月24日、徳島・宍喰町(現海陽町)生まれ。72歳。海南高(現海部=かいふ高)の投手として64年センバツ優勝。65年にプロ野球・西鉄に入団も3年で引退。通算0勝1敗。引退後に名前を「正司」から「将司」に変えた。70年にプロテスト合格し71年の日本プロで初優勝。スケールの大きなプレーから「ジャンボジェットのよう」と愛称が定着。いずれも歴代最多の日本ツアー最多94勝、賞金王12回、国内メジャー20勝、生涯賞金約26億8883万6653円。181センチ、90キロ。弟・健夫(65)、直道(63)もプロゴルファー。