【武藤一彦 王者の系譜】宮本勝昌、パット変身でイップス克服


5番、この日はマスク姿でプレーした宮本勝昌はバーディーパットを決めギャラリーの声援に応える 初日を3アンダーの4位タイ(カメラ・竜田 卓)

5番、この日はマスク姿でプレーした宮本勝昌はバーディーパットを決めギャラリーの声援に応える 初日を3アンダーの4位タイ(カメラ・竜田 卓)

 ◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第1日(5日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 日本シリーズ通算3勝のメジャー男。今大会出場の選手で最も多い17回出場、47歳の宮本が3アンダー4位の好スタートを切った。日本ツアー選手権も01年、10年と2勝。ツアー通算12勝のうちメジャーで5勝を挙げており、「僕が出場した中で一番速かったグリーンで4バーディー、ボギーは1つだけ。大満足」と胸を張った。前週のカシオワールドオープンから顔を白マスクで覆い、口を開くとせき込んで、いつもの豪快さは影を潜めた。昨年は18年間守り通した賞金シードを失う賞金ランク74位だったが、30人しか出場できない日本シリーズに返り咲きを果たした。

 昨年はパットのイップスに苦しんだ。ショートパットになるほど手が動きづらくなるゴルフ病。ベン・ホーガン、トミー・アーマー、杉本英世もこの病ゆえにツアーを去った。だが今オフ、毎年恒例となっている藤田寛之所属の葛城GC合宿で、アームロックスタイルの中尺パターに巡り合った。若い研修生の一人が40インチの中尺パターを打っていた。聞けば、中学生でゴルフを始めた時からグリップエンドを腕まで延長させた本場の米ツアースタイル。「今の若者は型にとらわれず果敢に、自然に感覚に従うんだなあ」と思い、ひらめいた。「令和の時代は、俺もこれだ」

 5月の中日クラウンズは最終18番で8メートルのロングパットを決めて優勝し、日本シリーズ出場権をつかんだ。過去20年でトップ10入りは9位が1回だけと苦手の大会だったが、最終日は1番でダブルボギー発進ながらの優勝。「左腕でシャフトをロックするからアームロックスタイル。リストを使わず両腕を一体にして使うので、病はどこかへ飛んでいってしまった」と、胸を張った。

 「日本シリーズに出ることは20年来掲げている目標。優勝できない時でも、かじりついてでも日本シリーズに行くぞ、という気持ちで毎年やっています」。好発進を決めたホールアウト後、黙々とグリーンで4度目の優勝に向かって調整した。不思議なことに、ゴルフをしていると、せき一つ出ないのだという。(ゴルフジャーナリスト)

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