渋野日向子“雑草”から令和のシンデレラ「ゴルフ界盛り上げたい」…報知プロスポーツ大賞


報知プロスポーツ大賞に輝いた渋野。大きく飛躍した一年となった

報知プロスポーツ大賞に輝いた渋野。大きく飛躍した一年となった

 報知新聞社制定「2019報知プロスポーツ大賞」の受賞者が17日に決まり、女子ゴルフのAIG全英女子オープン優勝の渋野日向子(21)=RSK山陽放送=ら6選手が大賞に輝いた。渋野はルーキーイヤーの今季、日本人42年ぶりの海外メジャー制覇と、国内賞金ランク2位の活躍が評価され初受賞。表彰式は今月下旬、都内で行われる。

 シンデレラストーリーを駆け上がった渋野はシーズン後に吉報を耳にした。「あらま、ありがとうございます。今年たくさんの賞を頂き、本当に自分がすごいことをしたんだと改めて実感します」と表情を引き締めた。かつては樋口久子、岡本綾子、近年は宮里藍(04、09年)らが歴代で受賞し「名だたる方ばかりで、ありがたい。名に恥じぬように、これからもゴルフ界を盛り上げていきたい」と誓った。

 昨年末の予選会40位の資格で3月のツアー第2戦から出場した。4月の熊本の試合では、初日に81を叩いた。だが、2日目に「ピンしか狙わない」ゴルフで66と爆発し、史上2人目の最下位からの予選通過を果たすなど片りんをのぞかせた。

 ゴルフファンに存在を知らしめたのが5月の国内メジャー、ワールドレディスサロンパスカップだった。20歳178日の大会最年少優勝を達成し「私で良かったんでしょうか」と笑いながらコメントした。優勝を報じた紙面で「アマチュア時代に実績のない(98年度生まれ)黄金世代の“雑草”」と紹介された。

 7月に2勝目を挙げると、8月には世界を驚かせる大偉業を成し遂げた。自身初海外試合となったAIG全英女子オープン(同1~4日、ウォバーンGC)。2打差首位から出た最終日、一時は3位と順位を下げたが、後半に5バーディーを量産し68の1打差で逃げ切った。77年全米女子プロの樋口以来、2人目の日本人メジャー制覇。ラウンド中の笑顔と駄菓子を食べる天真らんまんさで大観衆を味方につけた。キャディーを務めた青木翔コーチ(36)との“師弟物語”も話題となった。

 帰国後は国内ツアーで多くのギャラリーを引き連れる“しぶこフィーバー”の中、9月と11月に優勝を飾った。賞金女王争いでは今月1日に閉幕した最終戦まで鈴木愛(25)とし烈な争いを展開した。全英を除く国内の年間獲得賞金約1億5260万円は堂々のランク2位。「また来年からもっと頑張らなきゃ、と気が引き締まります」。金メダルを目標に掲げる東京五輪へ―。受賞を励みにさらなる活躍を見据えた。(岩原 正幸)

 ◆渋野 日向子(しぶの・ひなこ)1998年11月15日、岡山市生まれ。21歳。8歳でゴルフを始め、岡山・作陽高卒業後、昨年7月2度目のプロテストで合格。今季からツアー本格参戦。5月に初優勝を飾り国内4勝で賞金ランク2位。米ツアー1勝。最新世界ランク12位(日本勢2番手)で五輪出場圏内。憧れはソフトボール女子日本代表の上野由岐子。165センチ、62キロ。家族は両親と姉、妹。

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