煩悩ゴルフ/つねかねこうじ<6> イップス発病の幸運


「運は、実力の全て!」と言い切る親友がいる。
確かに、そいつは運が強いと感じる。
裕福な家庭に生まれ、大学生の時は新車で通学していた。
年収がかなり高い外資系企業に就職、会社都合で大枚の退職金を手にし、転職。
転職した会社が、M&Aで、従業員3千人の超一流大企業となり、今はそこの執行役員。

 

が、そいつは、頭も良い、気配りも凄い。運もあるだろうが、実力を兼ね備えている。
比べて、私の方が、圧倒的に運頼みの人生だ。

 

前回の煩悩ゴルフ<5>で書いたが、前職の会社で、信頼できる仲間を誘って創業した。
その仲間は5人。順番に誘った。
1人にでも断られたら会社にバレ、創業の計画は頓挫する可能性が高い。
が、5人全員が快諾してくれた。
快諾を得られる確率が1人70%として、0.7の5乗なので、全員快諾の確率は約17%!
しかも、超優秀な5人。

 

前職の会社で、実証実験したビジネスモデルを上申するも「ビジネス規模が小さい!」と 幸運にも否決され、そのビジネスモデルを持って創業できた。

 

創業来、金策にも苦労していない。
妻の父親が、超金持ち会社のオーナー社長。また、私が創業した時期は大儲けしていた。
ポーンと5千万円を貸してくれた。

 

私の幸運は、推挙にいとまがない。
それは、私が運をつかむコツを知っているからかもしれない。

 

運/不運は相対論!
不運も幸運と思い込めば、幸運になる。
転んでケガしても、「この程度のケガでラッキー!」と思えば良い。
幸運は幸運を呼ぶ。全てを幸運と思い込むだけで、どんどんと幸運が巡って来る。

 

貪欲!瞋恚!愚痴!で私を煩わせ、悩ませるショートパットイップス発病も幸運と思い込ませてしまえ!

 

★イップスのおかげで、パターを工夫する楽しみが増えた。

 

パターの握り方を、何種類もトライした。異なる種類のパターも何本も買った。
中でも、ショートパットを打ち易いのが左打ち。なぜか、普通に手が動く。
が、左利きのロングパットは、どこを向いているか分からないし、距離感も無くなる。
そこで、パターを左利き用と右利き用の2本を買ってきて、2本使い!


ところが、グリーン上でパター2本は面倒過ぎる。
キャディさんから2本貰う。左利きパターを足元に置いて、右利きパターでロングパット。
パット後、足元のパターを拾い、移動。
右利きパターを足元に置いて、左利きパターでショートパット。
入れば、秘かにほくそ笑みながら、足元のパターとカップのボールを拾って、次のホールへ。
邪魔くさい!

 

で、両面打ちできるパターをネットで探す。
何種類かあるようだが、どうも、私の美的センスに合わない。
何年か前に、東京駅大丸デパートのゴルフショップで見た両面打ちできるパターを思い出し、 ネットで探し、見つけた。買った。
2016年のパターだった。「在庫限り」って書いてあるので、多分、売れなかったのだろう。
どうも、左右両面打ちとして作られたパターではなさそうだ。が、左右両面で打てる。問題なし。


ワクチンコンポ (WACCINE compo) Gyelin Putter 4S GRY30 ストレートシャト

 

早速、使ってみる。いざ、桜満開の枚方カントリー倶楽部へ!


ティーショットは、新ドライバーになって、まあまあ。


新パターを使い、右利きでロングパット。


そして、左利きでショートパット。


ヒット音が気になるが、中々良い。しばらく、使ってみることにする。

 

★イップスのおかげで、笑いが取れる。

 

還暦を過ぎた爺になれば、飛ばなくなる。が、寄せとパットでスコアを纏めてくる。
しかも、ゴルフ歴40年近くとなれば、熟練した老獪な技を持っているのが普通だ。
それが、30~80cmのパットを外すのだから、見ている側は面白いのだろう。

 

私も、パターイップスになる前は、パターイップスのゴルファーを笑っていた。
20mや10mのロングパットは上手い。必ずカップ近くに寄せてくる。
なのに、30~80cmのショートパットを入れられない。
カップに届かない時もあれば、1m以上もオーバーする時もある。
上手さと下手さのギャップに、笑わずにはいられない。

 

私がイップスを発病してから、逆に笑われる立場になった。
が、幸いにも、私は関西人。ボケとツッコミの笑い文化を根に持つ。
「なんでやねん」と言える状況は美味しいのだ。笑われて、ドーパミンが溢れ出す。

 

★イップスのおかげで、人の優しさに触れられる機会が増えた。

 

イップスは、人の笑いを呼ぶが、あまりに酷いと、笑いは憐れみとなり、そして、優しさへと変えるようだ。

 

その日も朝からイップスだったが、それまでは、そこそこ入っていた。
1.5ラウンド、26ホール目、グリーン右の池が気になる185ヤードショートホール。
ティーショットを右に押し出し、ピン横、グリーン右に外す。幸いにも池の手前の崖で止まる。
高速グリーンへの難しいアプローチをスーパーショットで約50cmに! 同伴プレーヤーから拍手。
が、イップスで外す。笑いが起こる。が、その笑いは直ぐに止まった。

 

次のホールに向う途中、同伴プレーヤーの銀行マンIさん、突然に、ドライバーイップスを告白。
「ドライバーイップスは中々前に進めず、迷惑になるからコンペにも出られないんです!」
Iさんとは、もう何年も一緒にラウンドさせて貰っているが、そんな気配を感じたことがない。
しかも、最近、Ping410ドライバーに変えてから、ガンガンに飛距離アップ中。
とてもドライバーイップスだったとは思えない。

 

もう一人の同伴プレーヤー泌尿器科ドクターのKさんからも、突然に、「ティーイングエリアから出られないぐらい酷かった。」とドライバーイップスの告白。
なんと、バックスイングで手が動かなくなり、無理やり降ろしたショットで、ボールが数メートル後ろのバックティのティーイングエリアに落ちた事もあるらしい。
メンズウェアはSサイズでも大きすぎて困るほど細い体で、いつもフルスイング。
当たれば250ヤードショットを持つKさんのドライバーイップスにも驚いた。

 

いつもの仲間からも、親身になって助言をくれる。慰めてくれる。
優しさを感じさせてくれる。そして、心が和む。
お笑い文化の関西人なので、そんなにショックでもないのだが、癒される。
これも、パターイップスのおかげだ!

 

私を煩わせ、悩ませる30~80cmのショートパット!
「直径108mmのカップに潜む108の煩悩を、受け入れ、楽しみ、感謝するんだ!」と、私自身を洗脳中。。。。

 

煩悩ゴルフ、菩提への道険し!

 

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常包浩司(つねかねこうじ)プロフィール
eBASE株式会社/証券コード3835 代表取締役会長
1957年3月20日生 63歳 香川県出身
ゴルフ歴36年 ホームコース:有馬ロイヤルゴルフクラブ
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