シード権は?収入は…開幕から10戦連続中止の女子プロゴルフ、選手の本音と不安


昨年のワールドレディスサロンパスカップで大勢のギャラリーを連れて歩く渋野

昨年のワールドレディスサロンパスカップで大勢のギャラリーを連れて歩く渋野

 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプレーヤーズ委員長を務める青木瀬令奈(27)=マツシマホールディングス=が10日までにスポーツ報知の電話取材に応じた。新型コロナウイルスの感染拡大により、9日に国内メジャー初戦ワールドレディスサロンパスカップ(5月7~10日、報知新聞社後援)の中止が決まり、女子ツアーは開幕から最長の10戦連続中止。開始時期が見えず、選手からも不安の声が上がっている状況を語った。(取材・構成=岩原正幸)

 今季、前任の有村智恵(32)からバトンを受け、選手会にあたるプレーヤーズ委員会の委員長となった青木は現在、地元・群馬で調整を続ける。

 「日々、感染者が増える中で(10戦連続中止は)致し方ない。沖縄の開幕戦が中止となった2月末には、まさかここまでの状況になるとは思っていなかった」

 自身は3月20日頃にスイング改造に着手した。

 「充実して過ごせている。ジムは使えないので、やることは限られるが、外を走ったり、公園で縄跳びをしたり。家では読書、ピアノ、DVD観賞などですね」

 ツアー開始が見えない中、委員長の青木には、選手から相談や不安の声が寄せられる。

 「(大会毎に中止が発表される現状に)モチベーションが上がりづらい、といった声もある。もしかしたら今年一年(試合が)できないんじゃないかといううわさや臆測も(選手間で)出ていて、収入の不安、シード権、QT(予選会)で得た出場権はどうなるのかなど、協会の対応を聞きたいという意見もある」

 3月23日にはLINEなどで選手に匿名でのアンケートを行い、80人近くの回答が集まった。一例では「安全対策が取れれば今すぐにでも試合をやりたい」という選択肢より「他のスポーツと足並みをそろえて今は様子を見るべき」が上回り、慎重派が多かったそうだ。

 「どちらかというと選手に不安の声が多くて、私も意外でした。開催には選手、キャディー、運営や中継スタッフの方も含め、最少で500人規模となる。サーカス団のように毎週各地を移動して1人でも感染したらという不安も…やはりリスクは大きい。今はやらない方が賢明だと思う」

 プロ仲間ではインスタグラムなどSNSで積極的に情報発信し、中断中もファンを気にかける。

 「スポーツ観戦がない現状に慣れてほしくない。今は動画などで選手を身近に感じていただけたら。自然の中で一緒に歩いて見て楽しめるのがゴルフ。再開したら皆さんと笑顔でコースでお会いしたいと思います」

 ◆青木 瀬令奈(あおき・せれな)1993年2月8日、前橋市生まれ。27歳。7歳でゴルフを始め、小5で全国大会優勝。前橋商高に進み、2008年全国高校選手権夏季大会制覇。11年、プロテストに合格し、17年ヨネックスレディスでツアー初優勝。通算1勝。昨年は賞金ランク35位で5年連続シード。趣味は宝塚観劇。153センチ、50キロ。

 ◆コロナ影響下の国内女子ツアー経過

 ▽2月19日 開幕戦ダイキンオーキッドレディス(3月5~8日、沖縄)の無観客試合が発表される。

 ▽28日 開幕戦が一転して中止。

 ▽3月中 第2戦から第7戦までの中止が順次、発表される。

 ▽30日 総会後、JLPGA・小林浩美会長が「人の健康や命に関わる重大な問題」とコメント。

 ▽4月3日 協会が対策特別規定を制定。選手に競技前の検温などを義務づける。

 ▽同上旬 ツアー第8、9戦も中止発表。

 ▽9日 第10戦でメジャー初戦のワールドレディスサロンパスカップが中止。

最新のカテゴリー記事