女子プロゴルフの国内ツアー通算1勝で、今季から米ツアーに参戦する河本結(21)=リコー=が6日までにテレビ会議アプリ「Zoom」でスポーツ報知のインタビューに応じ、1年延期された東京五輪へ「五輪には出たい」と逆転代表入りへの思いを語った。1月のデビュー戦から3戦に出場したが、新型コロナウイルス感染拡大でツアーは一時中断。現在は国内調整で腕を磨きつつ、英語学習も始めるなどツアー再開への準備を進めている。(取材・構成=岩原 正幸、宮下 京香)
昨季国内ツアーで初優勝を飾った河本は昨年11月、東京五輪の逆転代表入りを見据え、よりポイントが高い米ツアーを主戦場とするため、最終予選会に挑んだ。結果は9位に入り、今季のほとんどの試合の出場権を得た。「(米挑戦の)時期はちょっと早いかなと不安はありました。でも小さい頃からの目標だったし、五輪には出たかった。後悔したくないという思いが大きかったと思います」と真っすぐな目で話した。
当面は日本で戦うつもりだったが、周囲の声や同じ1998年度生まれ「黄金世代」で米通算3勝の畑岡奈紗の存在が決断を後押しした。「早くそこに追いつきたい気持ちはありました。自分の目標は『世界で勝つこと』だと気づかせてくれた」
世界的に流行する新型コロナウイルスの影響で東京五輪は1年延期となった。現在、日本勢で出場圏内の畑岡や渋野日向子、鈴木愛らを追う4番手の稲見萌寧(もね)、5番手の河本らにとっては逆転の機会が広がった。「1年延びてみんなにチャンスが与えられたと思う。みんなバンバン順位を上げてくると思うので、私も頑張りたい」
期待を胸に挑んだ米ツアーでは、デビュー戦となった今年1月の第2戦ゲインブリッジLPGAで、いきなりトップ10入り(8位)するなど3戦に出場した。だが、コロナ禍でツアーは中断。3戦を終えて帰国したが、再開時期が不透明な中、国内で調整することに。ただ、3戦で得た収穫は多く、頭と体にたたき込む日々を送る。「芝が違うので、小技やマネジメントが変わってくる。ベースはあるけど、違うゴルファーになった気持ちでやらないといけない」。中断期間でショートゲームでの引き出しを増やすと同時にコースマネジメントも一から見直して対応力を磨いている。
5月22日には、ファンとのコミュニケーションツールとしてYouTubeチャンネルを開設した。また、「一番、足りない」と痛感した英語の勉強を本格的に開始。いずれも米ツアーで長く戦うという覚悟の表れだ。「目標達成するまでは帰りたくない。当面は米ツアーにベースを置いて世界で戦っていきたいと思っています。ゴルフも習得しながら、英語力も上げていければ」。最近は週2で、オンラインで2時間の授業を受けている。
米ツアーは7月23日開幕のマラソン・クラシック(米オハイオ州)で再開予定。先に国内ツアー、アース・モンダミンカップ(25~28日、千葉・カメリアヒルズCC)が無観客で開催するため、出場の予定だが、その後については、あくまでも中心は米ツアーだ。渡米した場合、14日間の自主隔離も想定されるが「知らない土地ばかりだし、早く慣れないと。出られる試合であれば、向こうで出たいと思っています」
幼少時から米男子通算82勝のタイガー・ウッズ(米国)に憧れ、世界の舞台で活躍することを夢見てきた。「成し遂げたいのは5大メジャー全制覇。優勝して英語でインタビューも受けたい。まずは今年中に優勝できるように頑張りたいです」。リボンがトレードマークの21歳は、自らの手で大きな夢をつかみにいく。
◆河本 結(かわもと・ゆい)1998年8月29日、愛媛・松山市生まれ。21歳。両親の影響で5歳から競技を開始。松山聖陵高から日体大に進学。2018年プロテストに一発合格し、同年下部ツアーで賞金女王に。昨年3月のアクサレディスでツアー初優勝。昨季賞金ランク6位。163センチ、58キロ。家族は両親とトップアマの弟・力(りき)。趣味は野球で、弟とキャッチボールをするのが好き。