国内女子プロゴルフツアー今季初戦のアース・モンダミンカップは25日から4日間、千葉・カメリアヒルズCCで開催される。2017、19年賞金女王で、世界ランク14位で日本勢3番手の鈴木愛(26)=セールスフォース=は24日、リモート会見で、史上3人目となる3度目の賞金女王に向けてスイング改造したことを明かした。進化した“ニュー愛”は「五輪の1年延期はプラス。技術もアップできる」と東京五輪代表も目標に掲げた。
3か月半遅れの開幕へ、鈴木は17年に優勝した好相性のコースを9ホール確かめた。「ショットが間に合ってないけど、パターの調子はいい」と分析し、「優勝できれば一番いいけど、まずは4日間、欲張らずにやりたい」と冷静だ。心強いのは相棒の存在。今回は15、16年にイ・ボミ(韓国)を賞金女王に導き、同年に大会連覇をした清水重憲キャディー(45)と昨年5月以来のコンビを組む。「優勝も多く経験(男女通算38勝)されている。しっかり頼りたい」と、ツアー最高額の優勝賞金4320万円を取りにいく。
昨年2度目の賞金女王に輝き、迎えた今季開幕前、「これまで海外で通用しない部分もあった」とスイング改造に踏み切った。右に大きく振れるスタイルを変え、球の曲がりを減らす狙いがある。「年間を通してショットを安定させたい」。オフの米国合宿はショット練習に時間を費やした。
出場圏内(15位以内)にいる東京五輪が1年延び、「よりスイングを固められるので安心している。不安はあるけど、プラスも大きい。さらに1年で経験、技術もアップできる」と捉えた。世界ランクは3月から凍結され、動き出す時期は未定だが「15位以内に入りたい」と見据えた。
史上3人目となる3度目の賞金女王に向けた“1・5年”の戦いが始まる。1988年のツアー制施行後では不動裕理(6回)、アン・ソンジュ(4回)だけ。今回は単独2位以上で、横峯さくらの196試合を抜き、日本人最速の174試合目での生涯獲得賞金7億円を突破する。
自身初のツアーでの無観客となり「普段マイペースな性格だけど、ゴルフになると気性が荒くなる。フラットにやったこともあるけど(心の)波がある方がいい」と、ラウンド中の気持ちの面を重要視した。「久しぶりにゴルフできるのを楽しみにやりたい」。鈴木の20年がいよいよ始まる。(岩原 正幸)
◆女子ゴルフの東京五輪への道 2021年6月28日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権を得る。〈1〉15位以内は各国・地域で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含み最大2人が出られる。21年東京五輪ゴルフの正式日程&会場は未発表だが、今年と同じであれば女子は8月に4日間、埼玉・霞ケ関CC東Cで72ホールストロークプレーの個人戦で競う。16年リオ五輪で初出場した日本女子は野村敏京が4位、大山志保が42位だった。
◆カメリアヒルズCC 千葉・袖ケ浦市に1990年11月開場した。安田幸吉と川村四郎が設計し、フェアウェーは広いが、池など巧みに配されたハザードにより、高い戦略性を追究した林間コース。2000、01年にはシニアツアーの藤田観光オープンが開催された。アース・モンダミンカップでは、12年の第1回大会から使用されている。6622ヤード、パー72。