渋野日向子「絶対に忘れない」うっかりマーカー戻し忘れミス、プロ初の2ペナ開幕


1番、ティーグランドで笑顔を見せてスタートした渋野日向子。初日をイーブンパーで終えた(Getty Images/JLPGA提供)

1番、ティーグランドで笑顔を見せてスタートした渋野日向子。初日をイーブンパーで終えた(Getty Images/JLPGA提供)

 ◆日本女子プロゴルフツアーアース・モンダミンカップ 第1日(25日、千葉・カメリアヒルズCC=6622ヤード、パー72)

 新型コロナウイルスの影響で112日遅れとなったシーズン開幕戦は、史上初めて全ラウンドが無観客で行われ、昨年のAIG全英女子オープン覇者の渋野日向子(21)=サントリー=は3バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの72で回り、イーブンパー59位だった。降雨によるコースコンディション不良で開始が1時間遅れ、5番でプロ転向後初の2罰打のミスをしたが、後半は3バーディーで取り戻した。66で回った浜田茉優(24)=伊藤園=ら3人が6アンダーで首位発進した。

 やっぱり何かが起こった。2018年にレギュラーツアー初出場でホールインワン、昨年は全英切符を得た大会で、渋野が想定外のミスをした。5番パー4。パットを1メートル残すと、ボールマークが同伴競技者のライン上にあるため、マークを1クラブヘッド分、ずらした。雨水がたまったグリーンの整備を挟んだところで「すっかり忘れていた」。そのままの位置からプレーを続けたため、ゴルフ規則14―7aの違反で2罰打が科され、ダブルボギーとなった。

 人生初のマーカーの戻し忘れの2罰打に「打って何歩か歩いて、すぐ気づいた。本当になっさけないな。自分が悪いので、怒りを通り越して笑けちゃって」とあきれ顔で悔しがった。ペナルティーも中学1年以来で、18年のプロ転向後初だった。

 「全部戻さなきゃ」と出た後半は、得意の“壁ドン”パットで流れを引き寄せた。バーディーなしで迎えた14番。強めの壁ドンで4メートルを沈め、今季初バーディーが飛び出すと、15番も連続で伸ばした。18番は3メートルを決めきり、バーディー締め。笑顔と両拳を2、3度握る新ポーズで喜びを表し、「(14番は)自分のバーディーが取れた。イーブンに戻せたので良かった」とひと安心。パットは「直感が一番自分に合う」と打つ前に素振りをするルーチンをやめるニュースタイルで挑み「そんなに悪くなかった。続けていけたら…」と手応えも得た。

 昨年12月以来、207日ぶりの実戦に加え、今回は無観客だ。今シーズンの第1打は「やっぱり緊張するもんだな。ギャラリーさんはすごいなと思った」。この日は試合勘を取り戻すのに苦労したといい、ラウンド中の“もぐもぐタイム”も栄養ゼリーと強雨による中断時に食べたチョコレートのみと控えめだった。「食べるよりも試合に必死でした」と苦笑いした。

 昨年の全英同様、開幕から「後半のしぶこ」の本領を発揮だ。ホールアウト直後に「(2罰打は)恥ずかしかった~」と笑みを見せていたが、「バーディーよりも、やはり5番のダブルボギーが印象深い」と悔しさは残る。「これからのゴルフ人生、絶対に忘れない。明日以降はもっと攻めのプレーをしたい」。苦い経験を逆転Vに向けた爆発力に変える。(宮下 京香)

 ◆しぶこに聞く

 ―5番2罰打のダブルボギーについて。

 「かなりショックを受けた。恥ずかしかった」

 ―後半に3バーディーで巻き返した。

 「キャディーさんと『全部、取り戻さなきゃね』と話していた。もうちょっと早くバーディーを決めたかった。例年と同じくスロースターターだなと」

 ―無観客での開幕戦は?

 「ショットを打ったらギャラリーさんの反応を聞いていたので、ギャラリーさんってすごいな」

 ―昨日午後8時のPCR検査結果を受けて。

 「かなりドキドキしていた。本当に、いろいろな人に迷惑をかけると思っていたので、陰性という結果に安心した」

 ―早朝の地震は?

 「起きた2分後でした。結構、長時間揺れたので布団から出ようと思ったけど、布団をかぶりました」

 ◆ゴルフ規則14―7a ホールをスタートした後、競技者は自分の球が止まった場所から各ストロークを行わなければならない。誤所から球をプレーした場合、2打の罰を受ける。ただし、規則が競技者に別の場所からプレーを要求するまたは認める場合を除く。(抜粋)

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