驚異のエージシューター田中菊雄の世界132 武藤一彦のコラム-遂に600回の大台


 エージシュートはついに600回の大台に乗った。7月1日東京よみうりCCで39、39の78。この日はパットが入り前半15パット、イン14の29パット。グリーン上だけで言えば1ホール2パット×18ホール、イコール36パットを規準とすれば、7アンダー。「チップインはなかったから7ホールで1パットしたことになりますね。このところパットがよくなっているが、7ホールも入るというのはめったにありません」と会心のラウンドだった。85歳で78は7アンダーのエージシュート。“パット・イズ・マネー”というがまさに、“パット・イズ・エージシュート”だ。

 

 パッティングフォームが大きく変わった。クローズドスタンスから広いスタンス、上体をボールに覆いかぶせるように深く折った極端なクラウチングスタイルから、オープンスタンス、球を右足つま先前、フェースをカップにむけるアップライトなスタイルからコツーン、とラインに乗せる打ち方。とにかくよく入る。驚くほど決まっている。
 もともとパットもショット同様、クローズドスタンスンの低姿勢、インパクト即フィニッシュの思い切りのいいゴルフ。グリーン周りのラフからでもパターで寄せるタイプ。その辺の“無茶”を指摘すると「パターのアプローチは、間違ったら入ることがあるから」と本当に外から入れてしまう人だ。
 日頃、「ゴルフは3打目とパターが大事」とアプローチとパッティングの重要性を説き「プロと違ってアマのゴルフはグリーンに乗らないことが多いのなら、寄せとパットを磨くしかない」とアプローチとパット重視。以来、エージシュートを意識して徹底的にスコアにこだわってやってきた田中名人、その成功が今にある。パターでのアプローチは”究極の寄せ”といわれるが、ころがしが最も安全確実ならアプローチにもパターを使う。そうこだわり、執着、徹底した取り組み、、見習いたいと思うがどうだろう?

 

 パットフォームが変わったことについては「去年秋ぐらい、コースが高麗から早いベントに変わるころ、球に近く立ち右足前、スタンスを狭くしたらラインに乗せやすく結果が良かった」といった。答えがあいまいなのはこれがゴルフ、感覚の世界だからだろう。“この方が入るから”というのがゴルフには大事、深く追及して分かるものでもない。ベントの高速グリーンが当たり前の最近のラウンド。名人の順応の仕方は参考になるかもしれない。お試しあれ。

 

 エージシュートついに大台の600回。今年に入って2月10回、3月20,4月20、5月18、そして6月19回と連続で2ケタを超えた。この5ヶ月だけで87回の”量産“だ。
 このペースだと年内には700回?いや、名人はそのつもりである。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。85歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。