◆女子プロゴルフツアー 富士通レディース最終日(18日、千葉・東急セブンハンドレッドC西C)
首位と1打差の2位で出た申ジエ(32)=韓国=が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算7アンダーで、昨年6月以来となるツアー通算25勝目を飾った。史上6人目の生涯獲得賞金10億円を最速の207試合目で突破。コロナ禍による入国制限で出場できない試合もあったが、6月の今季開幕から9戦目で外国勢として初勝利。昨年覇者の古江彩佳(20)=フリー=はこの日ベストスコア66で回り、5アンダー2位に入った。
優勝が決まると、申は18番グリーン上でバンザイで喜びを表した。コロナ禍での入国制限により開幕から6試合に出場できなかったが、出場3戦目で今季初勝利を手にし、「こんなに早く優勝できるなんて…。優勝できてうれしい」と、喜びに浸った。今季9戦目で外国勢初勝利で、生涯獲得賞金は10億円を突破。「自分だけのことでなく、皆さんのおかげ」と感謝した。
本来なら、6月の今季開幕戦のアース・モンダミンカップは大会連覇に挑むはずだった。だが、コロナ禍で入国がかなわずに出場を見送った。日本女子プロゴルフ協会のプレーヤーズ委員長を務める青木瀬令奈(27)には、開幕前に書面で「(日本に)行きたくても行けない」「やるからには大会を盛り上げて」などと、思いを伝えていた。
韓国では5月中旬に右手首、6月初旬に左肘の手術を受け、調整を目的に2戦に出場した。その後は主戦場とする日本ツアー出場を見据え、8月末から本格的な調整を開始した。「試合をしたかった。日本でのプレーをイメージする日が多かった」と、複雑な胸中で過ごした。関係者によると、「毎月、日本行きの航空券を買っていた」というほど待ち望んでいた。
9月中旬に来日すると、2週間の自主隔離を経てメジャーの日本女子オープン(40位)、スタンレーレディス(12位)と調子を上げ、試合がない日は毎朝走るなど、「心配だった」という体力も懸命に取り戻した。
日本を主戦とする前には、米韓両ツアーで賞金女王に輝くなど活躍してきたが、「ギャラリーさんがいない中で優勝は初めて」と、コロナ禍を実感。映像を通してファンへ、「残りの試合でもっといいプレーを見せたい」。目標とする米韓に続いて日本ツアーでの賞金女王へ、ここから存在感を示していく。(宮下 京香)
◆申 ジエ(しん・じえ)1988年4月28日、韓国・全羅道生まれ。32歳。11歳で競技を始め、2005年にプロ転向。06年から韓国ツアーで3年連続の賞金女王に輝く。08年のヨコハマタイヤPRGRレディスで日本ツアー初優勝。09年、米ツアーに主戦場を移し、3勝して賞金女王に。10年に自身初の世界ランク1位。同ツアーはメジャー2勝を含め通算11勝。14年から日本ツアーに主戦に戦う。155センチ、63キロ。