稲森佑貴、2年ぶり大会&ツアー2勝目…最終18番は「自分の心拍音がバクバク聞こえた」


通算5アンダーで大会2度目の優勝を果たした稲森佑貴(代表撮影)

通算5アンダーで大会2度目の優勝を果たした稲森佑貴(代表撮影)

 ◆男子プロゴルフツアー国内メジャー第1戦 日本オープン最終日(18日、千葉・紫CCすみれC)

 1差2位で出た18年大会覇者・稲森佑貴(26)=フリー=は、安定したショットを軸に2バーディー、1ボギーの69をマーク。通算5アンダーで、2年ぶりの大会&ツアー2勝目をつかんだ。2月22日に結婚した記念の年に、「好きな数字」という「2」にまつわる最終日逆転劇を演じた。初出場の河本力(りき、20)=日体大3年=は第3ラウンド(R)の13番で2罰打が科され、93年ぶり2人目のアマチュア優勝は逃したが、2アンダーの5位で初のローアマを獲得した。

 見えない幸運に導かれて、“日本一曲がらない男”が、2度目のゴルファー日本一の座に就いた。首位に並んで迎えた最終18番パー5。稲森は「自分の心拍音がバクバク聞こえた」と静寂の中、2メートルのバーディーパットを沈め、右拳を握って喜びをかみしめた。初優勝から2勝が日本オープンは、1973年のツアー制施行後初の快挙だ。「プロとして負けたくないのはあった。また日本オープンで優勝できてうれしく思う」。空前の“アマチュア旋風”が吹き荒れたメジャーの舞台で、プロの意地を見せた。

 2差2位で前半を折り返すと、12番でカラーからの“3パット”でボギーが先行。13番で3・5メートルを沈めて取り戻し、14番は4メートルのパーパットをしぶとく決めて1差を死守。17番で谷原がボギーとして首位に並んだ。「初優勝の経験を生かそうと思った。ミスをしても焦らないで、我慢していればチャンスはある」。今大会のフェアウェーキープ率78・57%、パーオン率75・00%ともに堂々の全体1位を記録した。

 ゲン担ぎも実った。16年から交際していた美穂さん(25)と大安吉日だった令和2年(2020年)の2月22日に結婚。「鹿児島弁で『賦(ふ)が良い(運が良い)』という意味があって」と、徹底して「2」にこだわった。この日も使用するボールナンバーに「2」を選択。「キャディーとも『賦が良い感じで終わりたいね』と話していました。勝っちゃって、怖いくらい」と、満面の笑みで幸せをかみしめた。

 結婚を機に鹿児島市内に新居も購入。コロナ禍では筋トレに励んだ。「大黒柱の自覚は芽生えた。昨年、(賞金ランク49位と)一番苦しんだので、体力づくりから見直した」と体幹トレを継続し、「安定したショットが打てるようになった」と、胸を張った。

 5年連続でフェアウェーキープ率はツアー1位だ。「またメジャーで勝ちたい」。たくましさを増した“真っすぐな大黒柱”が次なるメジャー、12月の日本シリーズJTカップ(3日開幕・東京よみうりCC)で、3つ目の日本タイトル獲得に挑む。(榎本 友一)

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