西村優菜6打差逆転V 身長150センチ大きな一歩 「ミレニアム世代」2人目のツアー制覇


通算11アンダーでツアー初優勝を飾った西村優菜(カメラ・相川 和寛)

通算11アンダーでツアー初優勝を飾った西村優菜(カメラ・相川 和寛)

 ◆女子プロゴルフツアー 樋口久子・三菱電機レディス最終日(1日、埼玉・武蔵丘GC=6585ヤード、パー72)

 6打差3位から出たルーキーの西村優菜(20)=フリー=が8バーディー、1ボギーのこの日ベストスコア65で、通算11アンダーで逆転した。2000年度生まれの「ミレニアム世代」では古江彩佳(2勝)に続く2人目のツアー優勝。身長150センチは史上2番目に小さいツアー優勝者となった。5打差首位から出た勝みなみ(22)=明治安田生命=は72と伸ばせず、10アンダー2位に終わった。

 西村は14番から3連続で伸ばし首位を捉えると、最終18番で「完璧なショット」という第3打を1メートルにつけてのバーディーで初優勝を決めた。涙はない。関係者らのまばらな拍手にキュートな笑顔で応えた。「自分の想像以上のゴルフができた」。3位狙いで6打差でスタートしながら、アマチュア時代を通じて自身ツアーベストの65。5勝目を狙った2学年上の黄金世代の勝、通算25勝の申(韓国)の実力者との最終組で、新人が大逆転劇を演じた。

 身長150センチのツアー覇者は、通算3勝の馬場ゆかり(37)の149センチに次ぐ史上2番目の低さ。「(身長を伸ばしたくて)小さい頃は牛乳をいっぱい飲んだ。中学生まではレストランでお子様のスプーンが出てきたり」と笑って明かした。女子でも飛ばし屋は260ヤードを超す中、230ヤード超とハンデはあるが、「ゴルフは飛距離だけではない」と強調。フェアウェーキープを意識し、今季3位(75・85%)とツアー屈指の正確性を誇る。

 アマ時代は安田祐香(19)がミレニアム世代の筆頭に君臨し、9月には古江彩佳(20)がツアー2勝目を挙げた。ともに関西出身のナショナルチーム時代の仲間の活躍に「自分も頑張らないといけない」と刺激を受けていた。自身も9月の日本女子プロ選手権で単独首位で初の最終日最終組を経験。だが、重圧から7位と失速し「守りに入っていた反省を次に生かそう」と糧にして、今回の結果につなげた。

 賞金ランク7位に浮上も「トップ10にいる回数が多ければ優勝のチャンスも出てくる。長く(上位に)いられるような選手になるのが目標」と、あくまでも冷静さを貫く。「優しく菜の花のように明るく」と名付けられたニューヒロインが大きな一歩を踏み出した。(岩原 正幸)

 ◆西村 優菜(にしむら・ゆな)2000年8月4日、大阪・堺市生まれ。20歳。5歳からゴルフを始め、大商大高1年時にツアーデビュー戦の16年日本女子オープンで6位。18年アジア女子アマ2位。昨年11月のプロテストに日本人最上位の2位で一発合格。得意クラブは9アイアン。憧れの選手は宮里藍さん、イ・ボミ。家族は両親、姉、弟。150センチ、50キロ。

 ◆低身長V 11年日本女子オープンなど3勝の馬場ゆかりの149センチが最も小さい。これまで2番目は、19年CATレディースを制した浅井咲希(22)の151センチだった。今大会出場者では西村と8位の山下美夢有(19)の150センチが最も小柄。

 ◆最終日逆転優勝 最大差は2002年広済堂レディスの藤野オリエの11打差。昨年9月のデサント東海クラシックでは渋野日向子が史上2位タイの8打差逆転(他に1例)。7打差は4例あり、今回の6打差は過去に15例ある。【注】いずれも1988年のツアー制施行後

 ◆西村の優勝用具 ▽1W=マーベリック・サブゼロ(ロフト角9度、硬さSR、長さ45インチ)▽3、5W=マーベリックMAX▽7、9W=グレートビッグバーサ(21、24度)▽UT=APEX▽6~9I、PW=Xフォージド▽ウェッジ(50、58度)=JAWS▽パター=オデッセイ・O―ワークス▽ボール=クロムソフトX(全てキャロウェイゴルフ社製)

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