![優勝セレモニーで、渋野日向子(右から2人目)ら選手からフラワーシャワーで祝福される原英莉花(カメラ・岩崎 龍一)](https://golf.hochi.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/20201129-OHT1I50279-L.jpg)
優勝セレモニーで、渋野日向子(右から2人目)ら選手からフラワーシャワーで祝福される原英莉花(カメラ・岩崎 龍一)
◆報知新聞社後援 女子プロゴルフツアー メジャー JLPGAツアー選手権リコー杯 最終日(29日、宮崎CC)
来年と統合することが決まっているシーズンの年内最終戦は、1打差の単独首位で出た原英莉花(21)=日本通運=が3バーディー、3ボギーの72で回り、通算10アンダーで逃げ切った。初日から首位を譲らない完全優勝で、1988年のツアー制施行後11人目のメジャー2連勝。通算3勝目を飾り、5年のシードを獲得した。
18番、1・5メートルの返しのボギーパットを決めると、原は苦笑いで拳を揺らした。直前に2メートルのパーパットを外し「緊張マックスでした」。長く感じられた18ホール。「ずっと緊張しながらのプレーで最後、優勝という最高の形で締めくくれて本当にうれしい」と安どした。
9ホール終了時には、6打差を追って5組前で出た古江に、1打差まで追い上げられていることをスコアボードで確認した。「(前半)自分が伸ばせていなかったのですごく気になった」と、ハラハラドキドキの展開に不安がよぎった。
13番で第1打を右に曲げ、一瞬表情をしかめた。ボールは木に当たってラフに戻り、ここをバーディーとした。「当たらなければ林かOBだった。運が良かったというか、ツイていた」。この時点で古江と4打差をつけた。自身初の完全優勝をたぐり寄せ、「今までにない勝ち方でうれしい。ゴルフ人生の大きな第一歩を踏み出せた」とうなずいた。
もちろん、運だけではない。勝利への執着心が勝っていた。10月の日本女子オープンに続く、得意の2サム(2人1組)で集中力が高まった。「やっぱり自分は本当に『勝負』が好きなんだと痛感した。目の前で戦っている感じが『ここでボギー打ってられない』とか奮い立たせてくれる。普段入らないようなパットも、気持ちでねじ伏せた感じがある」。古江の猛追を知った直後の10番。ピン奥7メートルからバーディーパットを沈め、さらに気合の入った顔つきに変わった。
春の自粛期間中にも「試合がない期間が長く、私はゴルフも好きだけど勝負も好き。戦うことが好きなんだと感じた。戦うにふさわしい技術を磨かなければ」と語っていた。師匠の尾崎将司(73)から受け継いだ勝負根性が、ツアー制施行後史上11人目のメジャー連勝につながった。
1998年度生まれの黄金世代では畑岡奈紗の4勝に次ぐ2人目の国内メジャー複数回V。「自分は波が激しいので突き抜けているとは思えない。勝負に対して執着している。これからも勝負強さには執着したい」。次戦は12月の全米女子オープン(10~13日、テキサス州チャンピオンズGC)でメジャー初出場となる。「今の自分でも戦えるように日々、勝負強さを磨いていきたい」と、最高峰の舞台に気持ちを向けた。(岩原 正幸)
◆原が達成した記録
▼メジャー連勝 昨年の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯、日本女子オープンを連勝した畑岡奈紗以来、史上11人目。
▼この大会の完全V 01年肥後かおり、11年全美貞、17年テレサ・ルーに続く4人目。21歳288日での達成は最年少。日本勢の今大会優勝は13年の大山志保以来、7年ぶり。
▼メジャー(4日間)の完全V 14例目。年少では05年日本女子オープンの宮里藍(20歳105日)、10年日本女子オープンの宮里美香(20歳358日)に次ぐ3位。(全て1988年ツアー制施行後)
◆原英の優勝用具 1W=ST200X(ロフト角8・5度、46・5インチ、硬さSR)▽3W=ST200TS▽5W=ST200▽4UT(20度)=キャロウェイゴルフ・マーベリック▽5~9I、PW=JPX921ホットメタル▽ウェッジ(48度、52度、58度)=ミズノプロトタイプ▽パター=オデッセイ・トゥーロンSAN DIEGO▽ボール=ブリヂストンゴルフ・ツアーB X(4UT、パター、ボール以外はミズノ製)
◆原 英莉花(はら・えりか)1999年2月15日、横浜市生まれ。21歳。母のすすめで10歳から競技を始め、神奈川・湘南学院高1年時、尾崎将司に弟子入り。18年プロテストに2度目の挑戦で合格し、昨年6月のリゾートトラストレディスでツアー初優勝。昨季の平均飛距離は253・33ヤードの4位。173センチ、58キロ。趣味は音楽鑑賞で、シンガー・Uruの「頑な」がお気に入り。