藤田寛之とピーターの最後の4日間…18番で涙こらえて「ありがとう」


藤田寛之(左)とピーター・ブルースキャディー

藤田寛之(左)とピーター・ブルースキャディー

 ◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 最終日(6日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)

 2010年から12年まで3連覇の藤田寛之(51)=葛城GC=が3バーディー、1ボギーの68で回り、通算2アンダー8位でフィニッシュした。

 油断すると涙があふれそうだった。思いをかみ締めながら歩いた18ホール。6年半コンビを組んできたキャディーのピーター・ブルースさん(52)=オーストラリア=は今大会を最後に、オーストラリアへ帰りゴルフ場で働くことが決まっている。

 18番グリーンで、いつもはしない強めの握手を交わした。「ありがとう」と伝えた。ブルースさんは泣いていた。「自分は我慢しました」。そこでも藤田はグッとこらえた。「相性がよくて、人間的にも好きな人間。責任感が強くて。1年でも長くペアを組みたいというのがあったので」。寂しさと感謝と祝福と、さまざまな感情がこみ上げた。

 普段のラウンドでグリーン上でラインを読んでもらうのは4~5回程度だが、この日声を掛け合う場面が多かったのは「共同作業を意識した」から。「ピーターとの6年半の最後の日。感動的でしたね。日本シリーズの18番という最高の舞台というのもね」。

 周囲の「メジャー最年長優勝」の声をよそに、藤田にとっての今週の最大テーマは「ピーターとの最後の4日間」だった。バックナインで必死に浮上を試みた。後半は3バーディー、ボギーなしと復調。15番パー3では6アイアンでピン上2メートルつけ、下りのパットを慎重に沈めた。ブルースさんとの最後のバーディーになった。

 ブルースさんは20年以上、日本ツアーでキャディーを務めてきた。選手がダブルボギーを喫しようが、何ら変わらず淡々と次のプレーに向かう。「彼はラウンド中に感情を表に出すことがない。プロキャディーの中のプロキャディー」と藤田が全幅の信頼を置いてきた52歳のオージーは、誰からも愛された。試合後、キャディー仲間から花束と色紙を渡されたブルースさんは「15番くらいから(今日が最後だと)考えて歩いていた。今日ナイスプレーで本当によかった」。笑顔で何度もうなずいた。

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