小祝さくら、4人バトル逆転V会見場を笑わせた“ほんわかコメント”


逆転で通算3勝目を挙げ、ギャラリースタンドをバックにガッツポーズをする小祝さくら(カメラ・今西 淳)

逆転で通算3勝目を挙げ、ギャラリースタンドをバックにガッツポーズをする小祝さくら(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー21年初戦 ダイキンオーキッドレディス最終日(7日、沖縄・琉球GC)

 4人が争う混戦の中、2差3位から出た小祝さくら(22)=ニトリ=が5バーディー、1ボギーのベストスコアに並ぶ68で回り、通算14アンダーで逆転優勝した。昨年9月のゴルフ5レディスに続く今季2勝目&通算3勝目で、今年宣言した初の賞金女王獲得に向け、賞金ランク3位に浮上。日本女子ツアー通算9勝の諸見里しのぶさん(34)は小祝と予選ラウンド2日間をプレーし、強さの要因を語った。

 バーディーパットを冷静に沈めた小祝は、1年3か月ぶりに入った観客の拍手にうれしそうにほほ笑んだ。4日間72ホール目で初めて単独トップに躍り出て優勝を決め、先にホールアウトしていた姉弟子の上田桃子(34)から肘タッチで祝福された。「本当にうれしいけど、まだ実感がない。最終日という感じでプレーしていなかったので」と、おなじみの“ほんわかコメント”で会見場を笑わせた。

 2打差を追って出た1番でボギーを叩き「自信がなくなってしまった」。大雨が降り続き、心が折れかけた。だが、晴れ間がのぞいた後半の13番で1打差に追い上げ、14番でロングパットをねじ込み初めて首位に並んだ。集中が高まる。「プレーオフもあるかな」と迎えた最終ホール。60ヤードから1メートルのチャンスにつけ、パーの森田との勝負を制した。グリーンに向かう途中、副賞のヤンマーフィッシングボートが目に入り「釣りにも行くし、母にプレゼントしたい」と考える余裕すらあった。

 18年から全92試合連続出場を続ける“鉄人”。今年は強い決意で臨んでいた。2月の宮崎合宿。上田ら辻村明志コーチに師事するメンバーが集まる席で「賞金女王を目指して頑張ります」と宣言した。これまでは「何試合でいくら稼ぐ」とノルマを課すだけだったが、はっきりと定めた。「最後まで誰が勝つか分からない接戦で勝ててうれしい。去年までならミスして勝てなかったけど、日に日に成長している」。昨年まで2位が6回の“シルバーコレクター”を21年初戦でいきなり返上し、首位の笹生優花(19)に約940万円差の賞金ランク3位に浮上した。

 畑岡、渋野ら98年度生まれ「黄金世代」では、国内3勝以上は5人目。3年連続でツアー優勝と安定感も光る。大会前、賞金女王とともに掲げた「複数回優勝」の目標も「3勝したい」と上方修正した。「今年も(38試合)びっしりスケジュールが入っている。スタートダッシュができたので、いい流れでもっと調子を上げていきたい」。一足早い“さくら”の開花で女王へ視界が開けた。(岩原 正幸)

 ◆小祝に聞く

 ―どんな一日だった?

 「天候だったり不安が多かった。『(後半の4バーディーに)こういう日は楽しんでプレーできたらいいね』とキャディーさんと話してポジティブにプレーできた」

 ―14番、10メートルのパットは強めに打った。

 「想像以上に打っちゃったので、これはやばいなと思った。(入ったのは)ビンゴ大会で当たったような感じ」

 ―賞金で何か買う?

 「(同門の)吉田優利ちゃんが使っている顔が痩せるみたいな(コスメアイテムの)電気バリブラシを買いたい」

 ―今年も全試合に出る予定。

 「休んでもやることがないというか、ゆっくりしたいというのがあまりない」

 ―賞金女王を口にして自らハッパをかける?

 「目標なので、絶対にこれを達成しなければ死ぬとかではない」

 ◆小祝 さくら(こいわい・さくら)1998年4月15日、北海道・北広島市生まれ。22歳。8歳の時に母・ひとみさんの影響でゴルフを始める。飛鳥未来高卒業後の17年にプロテストに一発合格。18年は3度の2位で賞金ランク8位。19年7月のサマンサタバサレディースで98年度生まれ「黄金世代」8人目のツアー初優勝を飾り、賞金ランクは8位。158センチ、58キロ。家族は母と弟。

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