◆女子プロゴルフツアー Tポイント×ENEOS 最終日(21日、鹿児島高牧CC=6424ヤード、パー72)
第2ラウンド(R)の残りと最終Rを行い、3打差4位で出た小祝さくら(22)=ニトリ=が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算10アンダーで逆転し、今季3勝目を飾った。ツアー通算4勝のうち、3度が逆転Vという勝負強さを発揮し、年間獲得賞金は自身初の1億円突破で賞金ランク1位に浮上した。
コースに咲く桜をバックに、小祝の笑顔がはじけた。ホールアウト後にパット練習をしている時、1差で追ってきたペ・ソンウが18番をボギーとして2戦ぶりの優勝決定を聞かされた。「まさか勝てるとは思ってなかったのでびっくり」。最大瞬間風速14・4メートルの強風下で制した喜びに浸った。
10ホール続けてパーとした後、勝負師の目つきが変わった。この日はピンまで300ヤードの位置からティーグラウンドが約30ヤード前に出ていた15番パー4だ。通算8アンダーで臼井麗香、サイ・ペイインと首位に並んでいるのを確認。「攻めなきゃ」とドライバーで1オンを狙った。球はグリーン右にこぼれたが、アプローチで1メートルに寄せてバーディー。16番も連続で奪い、今大会初めて単独首位に立った。
「(勝因は)15番ホール。風が完全にフォローじゃないから一瞬迷ったけど、決めて打っていけた」と満足げに振り返った。指導する辻村明志コーチも「優勝が懸かった場面で、あの位置に振り抜けるというのは成長を感じる」と目を細めた。
初優勝した19年7月のサマンサタバサレディースなど過去4勝のうち3度が逆転。本人は「追う方も追われる方もどっちも好きじゃない」と言うが、18番の2メートルのパーパットを笑顔で決め、「優勝争いできているのがいい」と勝負を楽しめるのが今の小祝の強さだ。
今月の21年初戦から3戦2勝で年間獲得賞金1億円を初突破し、初めて賞金ランク1位に浮上した。目標の賞金女王へ勝ち星を重ねるため、「稼ぐためにも何かに使わなきゃ」と“自己投資”でモチベーションを高めるという。ただ、会見で明かしたのは「今は250円のLINEスタンプを買った。スタンプに250円って意外にするなあと思って…」。他にも「オフに旅行に行きたい。宮古島(沖縄)のビーチでゆっくりしたい。大阪のユニバーサル(・スタジオ・ジャパン)も」と22歳の女性らしい一面を見せた。
「(小祝の)いいところは言い切っちゃったら必ずやる」と辻村コーチ。2月の合宿で、小祝は同じコーチに師事する上田桃子ら仲間の前で覚悟を言い切った。「賞金女王を目指してやっている。ここで気を緩めず、ここからなので」。初のビッグタイトルへ着実に歩を進める。(宮下 京香)
◆小祝 さくら(こいわい・さくら)1998年4月15日、北海道・北広島市生まれ。22歳。8歳の時に母・ひとみさんの影響でゴルフを始める。飛鳥未来高卒業後の2017年、プロテストに一発合格。18年は3度の2位。19年7月のサマンサタバサレディースで98年度生まれ「黄金世代」8人目のツアー優勝。今季は今大会を含め3勝。158センチ、58キロ。家族は母と弟。好きな色は黄。
◆小祝の過去3勝の最終日メモ
▽19年7月・サマンサタバサレディース(茨城) 2打差2位から出て65で逆転の初優勝。大会新の通算17アンダーを記録。98年度生まれ「黄金世代」で8人目の優勝。
▽20年9月・ゴルフ5レディス(岐阜) 首位で出て66で回り、大会新の通算17アンダー。2位に6打差をつける圧勝。
▽21年3月・ダイキンオーキッドレディス(沖縄) 2打差3位から出て68で、通算14アンダーで逆転。最終18番のバーディーで4人が争う混戦を制した。
◆小祝の優勝用具 ▽1W=スリクソンZX5(ロフト角9・5度、シャフト長さ45インチ、硬さS)▽3、5W=スリクソンZX▽4UT(22度)=スリクソンZH85▽5~9I、PW=スリクソンZ585▽47、51、58度ウェッジ=クリーブランドRTX3▽パター=オデッセイ・ストロークラボ・セブンCS▽ボール=スリクソンZスターXV(パター以外は住友ゴム工業社製)