◆女子プロゴルフツアー ヤマハレディース葛城 第4日(4日、静岡・葛城GC山名C=6564ヤード、パー72)
3打差6位から出た稲見萌寧(21)=都築電気=が6バーディー、ボギーなしの66で回り、大会レコードを3打更新する通算12アンダーで逆転優勝。統合された20―21年シーズンは3勝目、通算4勝目。3月からの今年5戦で稲見と小祝さくら(22)=ニトリ=が2勝ずつ。「2強時代」の様相を呈してきた。初日から首位だった山下美夢有(19)=加賀電子=は1打差2位。2打差の3位は高橋彩華(22)=東芝=。小祝は4位だった。
ツアー屈指の難コースで稲見が異次元の強さを発揮した。第2日終了時点で24位だったが、第3日、最終日に連続で66。特に勝負を決めるサンデーバックナイン(最終日後半)で5バーディー、ボギーなしの猛攻で、一気に頂点に立った。
21歳の稲見は独特の「精神論」を持つ。「『頑張ってね』というような軽いプレッシャーには弱いけど『これをしなければ死んでしまう』というような究極のプレッシャーには強い」
この日も18番のバーディーパットをねじ込んで勝負強さを見せた。「きょうはそれほど自分を追い込んでいません」と笑顔で話すが、ゴルフで極限まで自身を追い込んだ経験を持つ。18年7月27日、プロテスト最終日の18番。3メートルのバーディーパットを決めて、ぎりぎりの20位で合格した。「決めなければ死んでしまう、と思ってプレーしていましたね」と振り返った。重圧が増すほどに力を発揮する。稲見はプロゴルファーに重要な資質を持っている。
今年の5戦で稲見と小祝が2勝ずつ。2人の縁は深い。19年7月に小祝が初優勝すると、その翌週に稲見が初優勝。今年も初戦のダイキンオーキッドで小祝が勝つと、翌週に勝利。「さくらちゃんが勝つと、私も勝てる。験担ぎをしています」。今、日本女子ゴルフ界は「小祝&稲見時代」に突入した。(竹内 達朗)