◆女子プロゴルフツアー パナソニック・オープン 最終日(2日、千葉・浜野GC=6638ヤード、パー72)
2打差の2位で出た上田桃子(34)=ZOZO=は73をマークし、通算5アンダーで並んだ大里桃子(22)=伊藤園=とのプレーオフ(PO)で、1988年のツアー施行後では史上初、同じ名前の“桃子対決”を2ホール目で制した。2019年6月ヨネックスレディス以来、米ツアー会員として出た国内大会1勝を含む通算16勝目。次戦のワールドレディスサロンパスカップ(6~9日、茨城・茨城GC東C=報知新聞社後援)での悲願のメジャー初制覇へ、弾みをつけた。
上田は2年ぶりの勝利に両拳を突き上げた。9番(パー3)でのPO2ホール目。一瞬、風が緩んだのを感じると、5アイアンを「軽め」に振って調節し、グリーンを捉えた。大里が右バンカーに入れてボギーだったのに対し、上田は1メートルのパーパットを落ち着いて決めた。熊本の後輩で同じ「桃子」を退け、88年ツアー制施行後のPOで初の“同名対決”を制し、「ネタになると思ったので負けたくなかった」と笑った。
最終日は最大瞬間風速が20メートルを超え、アンダーパーは3人だけ。今大会でキャディーを務めた辻村明志コーチとは、昨年の全英女子オープンでもコンビを組み、暴風に負けず日本勢最高6位に入った。この日は辻村氏の「全英の半分の風」という言葉を励みに、正規の15番以外のPOを含む19ホールでパーを重ねた。最終日がバーディーなしでのVは自身初。「こういうゴルフもあると(若手に)見せられた」と、34歳は胸を張った。
今年初戦、3月のダイキンオーキッドレディスでは同じ辻村氏に師事する小祝さくら(23)に3打及ばず4位。小祝は今季3勝を挙げ、賞金ランク1位と飛躍する。最初は「チーム辻村」が盛り上がると妹弟子の活躍に喜んだが、次第に「若い子のモチベーションがうらやましい」と、歯がゆさが生まれた。大会開幕1週前には「勝てる気がしない…」と、コーチの前で涙を流した。
先週末には2人で茨城・大洗町での2日間の“プチ合宿”を敢行。100ヤードまで10ヤード刻みに打ち分けるショット、5ヤードずつ距離を延ばす地道なアプローチ練習に取り組んだ。上田が不安に思った年齢による衰えに、辻村氏は「それはない」と断言。弱気な精神面を指摘し、「カッコつけずにやれ」と言い聞かせた。上田は「初心に帰れた。ショットの打点、パットのリズム…」と、持ち味を見つめ直した。
次週は自身46度目のメジャーとなるワールドレディスサロンパスカップに挑む。辻村氏が2戦連続でキャディーを務めるのは「珍しい」というが、コンビで初Vの絶好の流れから依頼した。「目標のメジャーで優勝したい」。確かな自信が戻ったベテランが、若手に負けじと悲願のメジャー初制覇を狙う。(宮下 京香)