出た!女子プロツアー史上初のエージシュートだ。 コロナ禍のゴールデンウイークの5月1日、日本女子プロのレジェンドツアーで女子プロツアー初のエージシュートが記録された。エージシュートは田中さんの世界だけではなかった。世界は広い。が、まさか、女子の世界で飛び出すとは驚き、その顛末はこうだ。
「太陽生命 元気・長生きカップ」最終日は5月1日、千葉・セブンハンドレッドクラブ(5705ヤード、パー72)で行われた。競技は、45歳以上のレジェンド部門、60歳以上のグランドシニアの“2本立て”。快挙はそのシニア部門、76歳の岡田美智子によって達成された。大会は2日間、36ホールの争い。第1日、83と出遅れた岡田プロだったが、最終日アウトを1バーディー、2ボギーの37、イン1ボギーの37、トータル74。年齢に2アンダーのアンダーパーでエージシュート、女子ツアー競技史上初の快挙となった。
74はこの日のベストスコアタイの好内容だった。岡田プロは全体でも6位。優勝は五島列島出身の若浦みどりだった。
「プライベートでは7回やっているが、競技では初めて。もちろん狙っていました」という。「コロナのせいでラウンド不足、ショートゲームの感覚が鈍っていたが、元気で長生きをテーマとする大会は私の生き方にぴったり」と会心の笑顔。“うれしかったです”とジュニア選手のように、気を付け!の姿勢で胸を張った。
1967年の女子プロテストに合格した第1期生、ツアーでは8勝を上げたレジェンドだ。同期には、あの樋口久子・前会長がいるだけ。女子ゴルフ界を支えた41人でただ一人の生き残りと云ったら失礼に当たるが、人一倍の努力が支えだ。
学生時代は水泳・バタフライの選手、プロになっても水泳は散歩のようなものだ。さらに足腰を鍛えるためジョギングも欠かさない。
実はツアー8勝目も年齢が話題となった岡田だ。1989年の「三菱ファンタス」、44歳4か月優勝は、「那須小川レディス」小林法子の42歳5が月を更新したツアー最年長記録だった。しかし、当時の米ツアーの最年長記録、46歳5か月には及ばず、そのことを知ると奮い立った。岡田はその後、レギュラーツアーで57歳まで現役として頑張った裏には、世界記録更新の夢があったに違いない。夢は実らなかったが、意欲は衰えていない。エージシュートはたゆまぬ意欲の現れだろう。
さて、田中さんである。エージシュートは5月4日現在782回に達した。岡田さんの存在は86歳にはきっと良い刺激になるはずだ。そうだ、エージシュートはトシを重ねてからが勝負である。そうだ、今度、二人のラウンドを実現させよう!
◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。86歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。