10アンダーの単独首位から出た今季6勝の稲見萌寧(21)=都築電気=が6バーディー、ボギーなしの66で回り、通算16アンダーで首位をキープした。2打差2位から出た西村優菜(20)=スターツ=は6バーディー、2ボギーで通算12アンダーの2位タイ。18ホール終了後の記者会見では互いに質問し合う一幕もあり、優勝争いがさらに熱を帯びてきた。
「ノーボギーの稲見」か、「逆転の西村」か。30回の節目を迎えた大会最終日を前に、両者による“場外戦”が繰り広げられた。
稲見の1つ前の組だった西村は先に18ホールを終え、会見に参加。記者との質疑応答が終わりに差し掛かると、西村の後に会見を待っていた稲見が「私から質問いいですか」と、飛び入り参加。身長150センチの西村に「なんで小さいのに強いんですか。本当は150センチないですよね」と直球質問。西村も「150センチあります!」と即答し、すぐに「逆に私からも。なんでそんなに勝てるんですか」と切り返した。選手同士が質問し合う珍光景が生まれた。
今季6勝を挙げている稲見だが、会見場から姿を消していた西村の質問に「私も分からない」と涼しげ。パー4の7番では、1打目を曲げて左の木に当てて手前に戻される危機もあったが「ノーボギーをメインで思っていた」と、しっかりパーセーブ。3日間ボギーなしで回り、日本女子プロゴルフ協会で記録が残っている1990年以降、4日間大会で初となる“ノーボギーV”に王手をかけた。
優勝すれば残り1枠の東京五輪代表に大きく前進し、AIG全英女子オープン切符も手にできる。それでも「明日が今年の全てではない。最終日は最終日」と自身に言い聞かせた。
一方の西村は、6バーディー、2ボギーの12アンダー4差で首位を猛追。一時は13アンダーで稲見に並ぶなど、スコアボードを常に意識しながら回った。西村は昨年11月の三菱電機レディスで6打差、今年5月の国内メジャー、ワールドレディスサロンパスカップでは3打差をまくり、ツアー2勝ともが最終日の逆転Vだ。「スコアが伸びるコースなので(4打は)大きな差」と話しつつも「ポジティブに考えるとビッグスコアが出る。チャンスはゼロではない」。決して諦めるつもりはない。(菅原 美沙)