◆東京五輪 女子ゴルフ最終日(7日、埼玉・霞ケ関CC=7447ヤード、パー71)
稲見萌寧(22)=都築電気=が通算16アンダーで並んだリディア・コ(ニュージーランド)とのプレーオフを1ホール目で制し、男女通じて日本ゴルフ界初のメダルとなる銀メダルを獲得。5打差3位で出て9バーディー、3ボギーの65をマークした。69で回った世界ランク1位のネリー・コルダ(米国)が17アンダーで初の金メダル。畑岡奈紗(22)=アビームコンサルティング=は10アンダーの9位だった。米男女ツアー取材歴20年で、16年リオデジャネイロ五輪に続き今大会も取材したゴルフライター・大泉英子さんが、成長著しい稲見の強さと日本ゴルフ界初の五輪メダル獲得の意義などをスポーツ報知に語った。
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最近は男子ツアー取材が多く、今大会で初めて稲見選手を取材しました。自国開催の五輪は周囲の期待や重圧も大きいと思いますが「私、緊張しないので」と彼女は一貫して答えていた。それに一番驚きました。長らく世界トップに君臨した米男子ツアーのタイガー・ウッズ(米国)ですら、ナーバスになる姿を何度も見てきましたから。22歳のプレーぶりや受け答えを見ても、その言葉に偽りのないことは感じましたね。
POも元世界ランク1位のコの方がミスをした。どんな時でも自分を貫ける、そのメンタルに稲見選手の強さを感じます。日本ツアーの賞金女王を目指しているようですが、曲がらないショットと精神的な強さがあれば、5大メジャーでも活躍できると思います。
今年はゴルフ界に日本への“神風”が吹いています。4月の男子のマスターズで松山英樹選手が日本男子初のメジャーV。6月の全米女子オープンでは笹生優花選手が初優勝。そして今大会の稲見選手の銀メダル―。長くゴルフ界に携わっていますがこんな年は初めてです。次は一体、何が起きるのか、楽しみですね。
16年リオ五輪で金メダルを獲得した時、朴仁妃(パク・インビ)が「韓国のテレビ視聴率が普段のツアーの10倍以上見られていた」と言っていました。東京五輪も男女とも面白い試合で、多くの日本人の目にも留まったと思います。今回と同じ霞ケ関CCで開かれた1957年のカナダカップでは個人、団体共に日本が優勝。空前のゴルフブームを呼びました。男子4位の松山選手の激闘や稲見選手の銀メダルが、“令和のゴルフブーム”につながることを願っています。
◆大泉 英子(おおいずみ・えいこ)早大卒業後、1993年にゴルフ誌出版社に入社。主に国内男子ツアーを担当し、連載を担当していた丸山茂樹の米男子ツアー本格参戦を機に米ツアーを毎月取材。現在は「ゴルフ・グローバル」編集長で、親交の深い海外選手も多い。男女、シニアの海外メジャー取材は計100試合超。海外取材担当記者・編集者として活動中。全米ゴルフ記者協会会員。