◆女子プロゴルフツアー CATレディース 第2日(21日、神奈川・大箱根CC=6638ヤード、パー72)
5位から出た高橋彩華(23)=東芝=が5バーディー、ボギーなしの67で回り、通算9アンダーで首位と1打差の2位に浮上した。1998年度生まれ「黄金世代」の一員は過去5回も首位で最終日を迎えたが、いずれもV逸。2位から逆転で念願の初Vに向けてチャンスを迎えたが「自分には期待していない」。異例の弱気な姿勢で最終日最終組に挑む。首位から出た東京五輪銀メダルの稲見萌寧(22)=都築電気=が通算10アンダーでトップをキープ。
最終18番パー5。高橋が残り75ヤードから54度のウェッジで放った第3打は、2度もイーグルに迫った。ピン手前2メートルに着弾すると、カップの右をかすめて通り過ぎた。その後、バックスピンで再びカップへ。次はカップ左をかすめたが、惜しくも入らず。ボールがカップを折り返し地点のように回るスーパーショットだった。手前2メートルのバーディーパットをしっかり沈め、1打差2位で第2日を終えた。
ツアー屈指のショット力を改めて証明し、絶好の位置で最終日を迎えるが、高橋から威勢のいい言葉は出てこない。「全然、自分には期待していません。何回も失敗しているので」と自嘲気味に話した。
渋野日向子、畑岡奈紗ら逸材がそろう1998年度生まれの黄金世代の中でも、アマ時代は、最高峰の日本女子アマを制するなど、トップレベルに位置していた。プロテストには1度失敗したが、19年にはプロツアーでも飛躍。賞金ランク19位で初シードを獲得した。今季も賞金ランク13位と安定した成績を残すが、優勝だけは手にしていない。
これまで5度も首位で最終日を迎えたが、いずれもV逸。最終日最終組で回る稲見と吉田優利(エプソン)は、いずれも、高橋が最終日を首位で迎えた大会で優勝した経験を持つ。高橋にとっては相性も悪い。ともに奥嶋誠昭コーチに師事する“同門”の稲見は東京五輪でキャディーを務めた奥嶋コーチとのコンビで日本ゴルフ界初のメダルを獲得。「頑張ってほしい、と思いながらテレビで見ていました。メダルはすごい」と高橋は稲見をたたえる。
黄金世代の優勝者はすでに9人。10人目の筆頭候補は「(優勝は)たぶん、考えない」と静かに話す。無欲を超越する弱気な姿勢が奏功するか。時にゴルフは意外な結末となることもある。(竹内 達朗)
◆高橋 彩華(たかはし・さやか)1998年7月24日、新潟市生まれ。23歳。10歳からゴルフを始める。新潟・開志国際高3年時の16年、日本女子アマ優勝。高校卒業後の18年、プロテストに2度目の挑戦で合格。19年に5528万9178円を稼ぎ、賞金ランク19位で初シード獲得。日本ウェルネススポーツ大に在学中。ゴルフ以外のスポーツ歴は陸上、空手。162センチ、55キロ。家族は両親と弟。