◆男子プロゴルフシニアツアー ファンケルクラシック 最終日(22日、静岡・裾野CC=7040ヤード、パー72)
首位から出た田村尚之(57)=ダイクレ=が、通算10アンダーで並んだ秋葉真一(56)=関文グループ=、阿原久夫(50)=Golf ZONE Hesaka=とのプレーオフ(PO)を制し、5年ぶりの2勝目を挙げた。71歳の高橋勝成=シナコバ=は69で回り、2ラウンド連続でエージシュートを達成した。
優勝を決める4メートルのイーグルパットがカップに収まると、田村は無邪気に跳びはねて喜んだ。「手前1メートルからは入ると思いました。(最後は)よく覚えていないです」。前回大会(19年)はPO3ホール目で敗れただけに、我を忘れ歓喜に浸った。
一時は首位と4打差あったが、14年大会からタッグを組む元ハウスキャディーの鈴木美穂さんから「カムバックしましょう」と強気の助言を受けてよみがえった。鈴木さんは結婚して退職していたものの、田村が今大会のために復帰を懇願。1年半前から悩まされた乱視の影響で読みづらいパットのラインも、細かなアドバイスで乗り越えた。優勝を決めたPOのイーグルパットは「よく打てました」と褒められ、「新婚のいいプレゼントになったんじゃないかな」と感謝した。
30代頃まで体が弱く、大会出場後は寝込んでしまうこともあった。それでも筋トレなどで体重を増やし、体力も強化。会社勤めを続けながら49歳でプロに転向した。今年2月にはゴルフを応援してくれていた母・幸子さんが90歳で亡くなった。時折小雨が降る空を見上げてプレーした田村は、「母も見てくれていたんじゃないかな」と目を潤ませた。優勝後の晴れた空には、田村を祝福する大きな虹がかかっていた。(菅原 美沙)