驚異のエージシューター田中菊雄の世界153 武藤一彦のコラム-日本ASチャレンジカップ開催


 日本エイジシュート・チャレンジ協会の第2回チャレンジカップは9月13日、東京多摩丘陵の桜ヶ丘カントリークラブで169人が参加、18ホールで争われた。エージシュートを目指し、健康で長生きをテーマの大会は年齢をハンデキャップとするアンダーハンデ競技。優勝は同協会会長の86歳の田中菊雄会長がアウト42、イン40の82、エージシュートに4アンダーの好スコアで大会2連勝を飾った。2位は参加最高齢、90歳の遠藤芳作さんが95、ネット5オーバー、3位は80歳の菊池幸治さんが86、ネット6オーバー。女子はハンデで74の菊池栄子さんが45,45、の90で第1回優勝の関口和恵さんを1打、下した。

 

 「目指すはベスグロ、できれば13アンダー、自己のエージシュートアンダー記録12アンダーを上回りたい。そのくらいの気持ちでやります」田中さんは、女子プロでコーチの浪崎由里子プロらとの早朝7時半過ぎのトップスタート。前半はダブルボギーもあって42、インはバーディーも出て40と全く危なげなくエージシュートを達成。午後1時過ぎにホールアウトすると、結果やいかにと待っていた関係者や、これからスタートという人が拍手で出迎え、”凱旋ホールアウト“はかっこよかった。
 桜ヶ丘CCは過去に8回、エージシュートをやった得意コース。4アンダーでさらりと回って2位に9打差の圧勝。エージシュートは通算887回に達した。目指すは1000回の大台も見えてきた。「来年(2022年)3月3日に87歳になるまでにあと113回。あと5ヶ月半でクリアするのが目標。いまのペースだと1か月で20回ちょっとがノルマです」つやの良い顔をさらに輝かした。充実した笑顔。だが、月20回ペースでエージシュート100回余?無理だろう?
 が、田中さんは違った。「むりとあきらめていたら今はなかった。これまでできたことがこれから先できないわけがないとやるのです」先をにらんであくまで前向きだ。
 エージシュート目指し元気で長生き。会の趣旨に賛同、集まった参加者169人。月曜日が定休日のコースを借り切っての開催には20歳から90歳まで、女性30人余も混じって盛り上がった。女性に年を聞くのはご法度といわれたものだが、関係ない。ゴルフに取りつかれた女性はおおらか、歳をハンデのエージシュート競技に参加、大会の事務方も女性が圧倒的に多かった。
 大会は予想通りの田中さんの圧勝だったが、2位の最高齢遠藤さんは今年1月、田中さんと同組で東京よみうりCCを90で周り、珍しいことに、2人そろってエージシュート。12位の石川保さんも田中さんの仲間で8月、74歳で75(数え年)のエージシュートをやったばかりだ。
 成績をざっと見て感じたのは、参加169人中、上位を占めるのは70~80歳代が3分の一、次の30人が50~60歳代、残り3分の一が20歳から40代が占めた。年齢ハンデは高齢者有利。若者には気の毒だが、“年だから”と言い訳せずに頑張る高齢者は若い世代が見ても気持ちがいいのだろうか。
 高齢者を中高齢者が支え、さらにその下の1番厚い現役世代ががっしりと支えコロナウイルスの鬱陶しさを吹き飛ばした。パーティーなし。上がった者から帰宅。成績と賞品は1週間後、自宅に郵送された。エージシュートチャレンジ。スマートでクールな新しいゴルフの楽しみ方の誕生だ。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。86歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。