◆米女子プロゴルフツアー アーカンソー選手権 最終日(26日、米アーカンソー州ピナクルCC=6438ヤード、パー71)
首位で出た畑岡奈紗(22)=アビームコンサルティング=が5バーディー、1ボギーの67で回り、通算16アンダーで7月以来の今季2勝目を挙げた。今大会では2度のホールインワンを記録した。米ツアー17勝の岡本綾子、9勝の宮里藍に次ぐ日本歴代単独3位となるツアー5勝目を、22歳256日の日本勢最速で手にし、日米通算でも10勝目。ミンジ・リー(オーストラリア)らが1打差の2位。笹生優花(20)=ICTSI=が4位に入った。
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今大会の畑岡選手は、得意のショットがものすごく切れていましたね。初日と最終日は、ティーショットからグリーンを狙うショットまで完璧でした。米ツアーで2日連続のホールインワンの離れ業は、なかなかできないと思います。
今大会2勝目。会場のピナクルCCは日本人向きのコースです。グリーンが日本に多いベント芝で読みやすい。小川やドッグレッグも多くて狭く、ティーショットの正確性が必要です。3日間大会で12年大会覇者の宮里藍さんや宮里美香選手らも優勝争いをしています。5つのパー3があり、グリーンを狙うショットの精度が世界屈指の畑岡選手と相性の良さを感じます。
最終日の畑岡選手はスタートが素晴らしかったです。1、2、4番のバーディーで流れに乗りました。なかでも2番パー5はリー選手が3打目を2メートルにつけた直後に、さらに内側につけて伸ばして相手に隙を見せなかった。ただ、10番以降はパットを決めきれなくて終盤、1打差に迫られて苦しい展開でした。今年のエビアン選手権を制したリー選手と09年全米女子オープン女王のウンヒ選手。メジャー覇者の実力者2人との優勝争い。焦りも出る中、1打差で逃げ切った。日米10勝の中でもすごく価値のある1勝になると思います。
勝っても悔しそうにしていた畑岡選手の表情が印象的でした。このゴルフで、メジャーで勝てるのか―。という高い意識できっと反省していたんだと思います。来年のメジャーを考えると、この経験は土壇場での自信や力になるはず。22歳と若く、まだまだ成長段階。17年から米ツアーに参戦してひたむきに努力を積み重ねて年々、大きく、強くなっています。緊張した中でパットを決め切る技術と時折、ティーショットが右に行くのを防ぐ術。それをつかめれば、米ツアーの賞金女王や世界ランク1位も見えてくると思います。(女子プロゴルファー・諸見里しのぶ)