“高校ゴルフ部監督兼プロ選手”阿部裕樹、首位と2差自己最高4位発進…初賞金シード入り&初優勝狙う


第1日で5アンダーと好発進した佐野日大高ゴルフ部監督の阿部裕樹

第1日で5アンダーと好発進した佐野日大高ゴルフ部監督の阿部裕樹

◆男子プロゴルフツアー ANAオープン 第1日(16日、北海道・札幌GC輪厚C=7063ヤード、パー72)

 栃木・佐野日大高ゴルフ部監督の阿部裕樹(32)=フリー=が7バーディー、1ダブルボギーの67で回り、首位と2打差の5アンダー、ツアー自己最高の4位で発進した。6年前に母校の監督に就任し、今年8月の関東大会男子団体で優勝に導いた。ゴルフ界では超異例の選手兼任監督は、ツアーに今年から本格参戦し、初の賞金シード入りと初優勝に向けて躍進を遂げる。ジェイブ・クルーガー(35)=南アフリカ=が7アンダーの単独首位。

 秋晴れの北の大地で選手兼任監督が躍動した。今大会初出場の阿部は、出だしの10番でダボもその後はショット、パットともにさえた。ツアー初日自己最少の67。初日ベストの4位に「風の読みとグリーンのタッチが良かった。14日に矢野東さんと練習ラウンドをご一緒させていただいて。いろいろと優しく教えていただいたおかげです」と08年大会王者の日大の大先輩に感謝した。

 プロ12年目の今年、大躍進中だ。コロナ禍の昨年の特別予選会上位の資格でツアー出場権をつかむと、今年9戦で6度の予選通過。6月のメジャー、日本ツアー選手権森ビル杯で自己最高の8位に入るなど、賞金ランク63位で初の賞金シード入り(同60位以内)も十分射程に入る。アイアンショットが武器で、パーオン率73・37%は堂々のツアー1位だ。この日も15番を8アイアンでピンそば3メートルにつけて伸ばすと、16番は7アイアンで手前5メートル、17番も2・5メートルにつけて3連続バーディーを奪った。

 15年から恩師・長谷川弘総監督の下、母校の監督に就任。昨年8月から同校ゴルフ部の寮で、家族とともに3人の部員と共同生活を送る。ツアーのない週は学生とともに近隣のゴルフ場で練習やラウンド、トレーニングする日々を送る。「学生たちは気を使っているのか、僕の試合結果は全く話題にしないんですよ。先生方や保護者の方々からは『頑張って』などと声をかけていただいています」と、異例の“二足のわらじ”を履くやりがいも感じている。

 今年8月の関東大会男子団体で同校は、16年ぶり3度目の優勝を飾った。次の目標は、教え子の全国大会初制覇と自身のツアー初優勝だ。「どっちが先ですかねぇ。シードを取ると、子供たちをあまり見てあげられなくなっちゃいますかね」と、うれしい悲鳴。「子供にはどうしたらボギーを打たずにできるかを教えたい」と阿部。自らの初勝利で最高のお手本を示す。(榎本 友一)

 ◆阿部 裕樹(あべ・ひろき)1989年2月23日、栃木・宇都宮市生まれ。32歳。祖母の影響で8歳からゴルフを始め、佐野日大高を経て、日大に進んで08、10年国体優勝。栃木出身として10年日本アマチュア選手権初V。同年12月にプロ転向。15年から佐野日大高ゴルフ部監督に就任。19年まではツアー計14戦で10度の予選落ち。ツアー最高成績は今年6月のメジャー、日本ツアー選手権森ビル杯の8位。167センチ、66キロ。家族は妻と2女。

最新のカテゴリー記事