◆男子プロゴルフツアー メジャー第3戦 日本オープン 第1日(14日、滋賀・琵琶湖CC=6986ヤード、パー71)
5月の中日クラウンズで6年ぶりに優勝した岩田寛(40)=フリー=が、8バーディー、ボギーなしの63で回り、パー71設定での18ホール大会最少ストローク記録を1打更新して単独首位に立った。昨年大会がプロデビュー戦だった金谷拓実(23)=Yogibo=は4アンダーの12位。
スコアボードに8つのバーディーを並べても、岩田は表情を変えなかった。前半だけでスコアを5つ伸ばし、最終9番で第2打をピンまで1メートルにつけてバーディー締め。大会20度目のパー71設定で、最少ストローク記録を1打更新したが「スコア“は”よかったです」と、さらりと受け流した。
この日は「全然当たらなかった」とショットに不安を覚えたものの、「(グリーンに)乗ったのは入ってくれた。乗らなかったのはパーパットでしのいで」と冷静に対応。2年ぶりの有観客開催も岩田を後押しし、「締まりますね。いないとふざけたりするので(笑い)」。来場したギャラリーから送られる視線や拍手が大きなエネルギーにもなった。
「63」は縁起のいい数字でもある。過去、15年の全米プロで大会最少タイの63をマーク。パー70設定だった5月の中日クラウンズでも最終日に63をたたき出して逆転Vを成し遂げた。
40歳と年齢を重ねても闘志は尽きない。15年に米ツアー出場のため、入れ替え戦を経て権利を獲得。17年から国内ツアーに復帰したが、再び海外でプレーする未来を思い描く。「(石川)遼も行くし、楽しそうですね」。10歳年下の石川遼(30)=カシオ=が来年の米下部ツアーの出場権を懸けた2次予選会参戦のために渡米し、日米通算8勝の小平智(32)=Admiral=も米下部ツアー参戦を表明。今大会で優勝すれば5年シードが約束されるだけでなく、全英オープン行きの切符も手に入る。
伸ばし合いの展開に、優勝の2文字を振られても「初日なのであまり言うのはやめて」と苦笑いでかわした。夢への最短ルートは自らの手でたぐり寄せる。(菅原 美沙)
◆岩田 寛(いわた・ひろし)1981年1月31日、宮城・仙台市生まれ。40歳。ゴルフはシニア認定プロの父・光男さんの影響で14歳から始める。仙台育英高から東北福祉大に進み、02年の日本アマでベスト32。04年にプロ転向。06年に賞金ランク62位で初シードを獲得し、10年連続保持。17年からシードに復帰して通算3勝。177センチ、74キロ。