◆女子プロゴルフツアー 富士通レディース 最終日(17日、6679ヤード、千葉・東急セブンハンドレッドC西C=パー72)
最終ラウンド(R)は降雨によるコースコンディション不良のため中止。第2Rを終えて通算12アンダーで首位に並んだ2人によるプレーオフ(3ホール)が行われ、古江彩佳(21)=富士通=が2ホール目にバーディーを奪って勝みなみ(23)=明治安田生命=を下し、ツアー3人目の同一大会でアマチュア&プロ優勝をつかんだ。渋野日向子(22)=サントリー=は最終Rをプレーできず、1差3位で自身初の2週連続Vを逃した。
古江の目から、19年大会のアマVとは違う歓喜の涙があふれた。「アマチュアの時は自分のことだけを考えてプレーしていた。ホステスプロとして、ここで2勝目を挙げることができて本当にうれしい」。アマとプロで同一大会を制するのは、宮里藍と畑岡奈紗に続いて3人目。2年前と同様に表彰式で瞳を濡らした。
朝からの強雨でスタート前に競技の中止が決定。88年のツアー制施行後、5例目の優勝を決めるPOのみが実施され「驚きだった」という。選手が引き揚げる中、2歳上の“黄金世代”の先駆者・勝と2人だけがコースに残り、勝負服のピンクのベストで一騎打ちに挑んだ。17番パー3。第1打を5ウッドで振り抜くと、左奥2メートルにつける好ショットでバーディーを奪い、勝負を決めた。「(POは)ほとんどがいいショット。完璧だった」と胸を張る。アマ時代から「分厚い壁」と意識してきた“黄金世代”を退けた。
19年大会をツアー史上7人目のアマで制し、即プロ転向。勢いのまま20年は3勝を重ねた。だが、今年に入り3月の初戦から5戦連続でトップ10に入れず、6月には出場圏内だった東京五輪の切符を逃した。「うまくもいかない、悪くもない、中途半端な時がずっと続いて。もう勝てないのかな」と自信を失いかけた。
復調の契機となったのが、夏場に挑戦した欧州遠征だった。7月の海外メジャー、エビアン選手権では日本勢最高4位に入り「今年も悪いわけではない。自信を持てて調子を戻せた」。さらに帰国後の隔離の影響で崩れたスイングを、一から見直し「うまくいくはずがないし、ミスしても仕方ない」と自身を客観視できるように。2年前から強みだった「楽しむ」余裕が生まれ、11か月ぶりVにつながった。
昨年は9月のデサント東海クラシックでプロ初V後、11月までに3勝を挙げており、自他共に認める「秋女」だ。次戦は地元・兵庫でのNOBUTAGROUPマスターズGCレディースに出場予定。「また1勝を目指して楽しんでいきたい」と実りの秋を迎える。(宮下 京香)
◆古江 彩佳(ふるえ・あやか)2000年5月27日、神戸市生まれ。21歳。兵庫・滝川二高を卒業後、19年10月の富士通レディースでツアー史上7人目のアマ優勝を果たしプロ転向。昨年は9月のデサントレディース東海クラシックでプロ初Vするなど3勝。今季ツアーで平均パット数1・7592で1位。憧れは宮里藍、歌手の浜崎あゆみ。153センチ、54キロ。家族は両親。