日本ツアー通算6勝で、ステキな笑顔が魅力的な「スマイルクイーン」ことキム・ハヌル(韓国)が、24日まで行われたNOBUTA GROUP マスターズGCレディースを最後に、日本での7年間の現役生活に終止符を打った。大会4日間はたくさんのギャラリーを引き連れて回り、通算2アンダーの20位でフィニッシュ。最終18番を終えると、グリーンサイドで待っていた選手たちが駆け寄り、熱い抱擁を交わして涙を流した。日本のファンに最後の雄姿を届け「今週は絶対予選に通りたくて頑張った。最後まで4日間いいプレーができてよかったです」と笑顔を輝かせた。
32歳のハヌルは2011、12年に韓国で賞金女王に輝き、2015年から日本ツアーに参戦。来日1年目にマンシングウェアレディース 東海クラシックで初優勝を飾った。「最初に来たときは、日本の生活がきつかったんですけど、たくさんのファンの皆さんのおかげで7年間いいプレーができたと思います」。日本ツアー参戦の2年前から日本人の先生と日本語を勉強したものの、単語の活用法に大苦戦。当時を振り返り、「『暖かい』『暖かかった』『暖かくない』が難しかった。4(し)と4(よん)、7(しち)と7(なな)。最初は分からなかった」と苦笑いを浮かべた。今ではほとんど通訳を介さずスムーズに取材のやりとりを行い、丁寧に日本語を紡いで気持ちを伝える姿は、数えきれぬ努力のたまものだろう。
大学時代の同級生だった親友のイ・ボミ(延田グループ)は先に日本ツアーに参戦し、15年に7勝、16年は5勝して2年連続で賞金女王に輝いた。ハヌルは16年に2勝、17年は3勝で賞金ランク4位。当時は韓国勢の活躍が目覚ましく、15、16年は年間17勝、17年は13勝を挙げるなど、日本ツアーを席巻した。「ボミも私も、申ジエもイ・ナリも同じ年の選手たちが日本でいいプレーをしながら、ライバルではなく友達として、本当に友達がいるから私も頑張れました」。仲間とともに一時代を築いた記憶が色あせることはない。
今後は日本を離れ、11月中旬に出場予定の韓国ツアーの最終戦が現役ラストの大会となる。その後は韓国でのテレビ出演や、YouTubeでの動画配信にも取り組む。大会に臨む選手の一日などゴルフに関連する動画はもちろん、他の運動に挑戦する様子など等身大の「キム・ハヌル」も映し出す。
「毎週来て応援していただき、力になりました。また会える日を待っています。ありがとうございました」。たくさんの人を魅了してきた笑顔は、第2の人生でも輝き続ける。(ゴルフ担当・菅原美沙)