プロ9年目・池村寛世、大逆転初V 交際中キャディーと涙の抱擁「天狗にならずにやっていく」


2番ティーショットを放つ池村

2番ティーショットを放つ池村

◆男子プロゴルフツアー ISPSハンダ・ガツーンと飛ばせ 最終日(31日、茨城・美浦GC=6988ヤード、パー71)

 プロ9年目の池村寛世(26)=ディライトワークス=が涙のツアー初優勝を飾った。5差2位から出て、7バーディー、1ボギーの65で回り通算17アンダーで大逆転勝ち。最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ(12月2~5日・東京よみうりCC=報知新聞社主催)の2年連続の出場権もつかんだ。

 「勝てる」と言われ続けた男がようやく勝利を手にした。2差の首位でホールアウト後、クラブハウス前の画面で後続のプレーを見て勝利を確信。交際するキャディーの坂口琴音さん(25)の肩に顔を埋めて「長かったね」と言われると大泣きした。「ずっと優勝が想像できなかった。やっと終わったと思ったら涙があふれた」と喜びをかみ締めた。

 怒とうの追い上げだ。最終日は5差を追って出て前半はパープレーで差は6打に広がったが諦めなかった。11番パー4。残り154ヤードの第2打を8アイアンでピンそば1メートルにつけると、14番までに4連続バーディーで猛追。16番で4メートルを決めてついに首位の植竹を捉え、17番バーディーで単独首位に。18番で1メートルのパーパットを沈め右拳を握った。

 13年1月に17歳でプロ転向。飛距離を武器に「お前ならすぐに勝てる」と期待は大きかったが優勝は遠かった。同学年の比嘉一貴が2勝し、同じ鹿児島出身の稲森佑貴らも勝利を挙げ「自分だけ勝っていないのが悔しい」。精神的に追い込まれ、地元でサツマイモ農家の両親にも心配をかけた。それでも得意のドライバーが不調になれば“直ドラ”を練習するなど努力を重ねてその時を待った。

 優勝で昨年に続き最終戦の切符を得た。昨年は賞金ランク上位者で出場し「優勝してJTにいけるので楽しみ」。苦しみの末つかんだ初V。「1勝がラッキーだと言われないよう天狗にならずにやっていく」と浮かれずに2勝目を目指していく。(宮下 京香)

◆結婚視野の相棒「大丈夫」援護

 〇…結婚を視野に池村と交際中の坂口キャディーが初Vに導いた。ゴルフ経験者で19年の地区オープンでキャディー起用し出会った。転戦中は食事面でも支え、今年は3度目のタッグ。普段はスノボを楽しむなど明るい性格も、ゴルフでは落ち込む方。ミスショットのたびに「ダメだ」と漏らし、ポジティブな坂口さんが「大丈夫」と言い続けた。池村は「遅くまで練習に付き合ってくれたり、彼女の支えが大きかった」と感謝した。

 ◆池村 寛世(いけむら・ともよ)1995年8月30日、鹿児島・志布志市生まれ。26歳。10歳でゴルフを始め、尚志館高2年時に半年間、豪州にゴルフ留学。帰国後に高校を中退し、2013年にプロ転向。18年に賞金ランク39位で初シードを獲得中。19年のツアー平均飛距離は303・52ヤードで5位。166センチ、72キロ。家族は両親と弟。趣味はサッカー、スノボ。

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