稲見萌寧、腰痛でも9打差圧勝 賞金女王争い古江彩佳を1696万円差離した


優勝し笑顔でバンザイする稲見萌寧

優勝し笑顔でバンザイする稲見萌寧

◆女子プロゴルフツアー 伊藤園レディス 最終日(14日、千葉・グレートアイランドC=6741ヤード、パー72)

 賞金ランク1位の稲見萌寧(22)=都築電気=が、今季9勝目を挙げ、年少2位となる22歳108日で通算10勝目をつかんだ。7バーディー、ボギーなし、2日連続のベストスコアとなる65で回り、自身最大の9打差をつける通算17アンダーで圧勝した。賞金女王争いはランク2位の古江彩佳(21)=富士通=との一騎打ちに絞られ、67で5位だった古江との差を約1696万円に広げ、王手をかけた。

 稲見は強かった。18番で9メートルのウィニングパットを放つと、カップに入る前に「あっ! これ入ったわ!」と確信し、両手を突き上げた。9打差での圧勝Vは過去10勝で、これまで最大差だった5月の中京テレビ・ブリヂストンレディスの6打差をさらに上回った。88年ツアー制施行後、05年宮里藍(20歳105日)に次ぐ年少2位の記録で今年春に掲げた「2ケタ勝利」にたどり着いた。「自分でも驚いている。何よりも2ケタの目標を達成できて良かった」と笑った。

 10月中旬に腰痛を発症。病院でX線検査を行った結果「ヘルニア」と診断されたと試合後に初めて明かした。大会中は湿布を貼り、最終日朝のショット練習場では腰を気遣い「ゆっくり振り」計22球で切り上げた。強風下もあって飛距離が出ない中、5、12、16番では確実に球をコントロールし、1~2メートルにつけてバーディー。13番では13メートルを決めて今年好調のパットで補い、持ち前の隙のないゴルフで圧倒。「ショットは違和感があったが、思ったよりうまくいった。パターが助けてくれた」と振り返った。

 節目の10勝目は格別だ。小学5年から千葉市の北谷津ゴルフガーデンで腕を磨き、現在も練習拠点にする。当時は毎日、閉店の午後10時を過ぎるまでナイター設備のあるショートコースで最大の武器になったショット、アプローチ練習に励んだ。現在も千葉在住で「初めて千葉で勝てたことがすごいうれしい」。達成した数々の記録には無関心に振る舞うが、地元での勝利には声を弾ませた。

 優勝賞金1800万円を加え、男女ツアーを通じて初の年季獲得賞金2億5000万円の大台を突破。賞金女王争いでも古江と一騎打ちとなり、その差を約1696万円に広げた。今季は残り2戦。次戦を制し古江が単独6位以下などで初の賞金女王に輝く。次のターゲットは03年不動裕理に続く史上2人目の「シーズン10勝」で「(賞金女王は)結果的になれたら」。東京五輪銀メダルなど飛躍の年を最高の形で締める。(宮下 京香)

 ◆稲見の最短賞金女王 稲見が次戦の大王製紙エリエールレディス(18~21日、愛媛)で優勝し、V賞金1800万円を加算した場合に、古江が予選落ちを含めて単独6位以下であれば、稲見の初の賞金女王が決まる。今季の獲得賞金総額で、現在、稲見が2億5256万6049円で、古江との差は1696万8474円。

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