チャン・キムが初の賞金王 今季3勝を支えた出口キャディーが明かす…賞金王の素顔


賞金王に輝いたチャン・キム(右)は、出口慎一郎キャディーとボードを手に喜んだ(カメラ・今西 淳)

賞金王に輝いたチャン・キム(右)は、出口慎一郎キャディーとボードを手に喜んだ(カメラ・今西 淳)

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー2020―21年最終戦 日本シリーズJTカップ最終日(5日、東京・稲城市 東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 今季3勝のチャン・キム(米国)が日本ツアー6季目で、1987年のデビッド・イシイに続く米国人2人目の賞金王に輝いた。今季最終戦を前にツアー最多の5人が賞金王に可能性を残した混戦を制した。2019年11月から専属キャディーを務める出口慎一郎氏が今季全3勝を支えた。

 C・キムは今季3勝の星野陸也、同2勝の金谷拓実、木下稜介、同1勝の稲森佑貴と最後まで争った。最終日は「チャンはずっと気にしていましたね」(出口氏)と他の4人のスコアを気にしながらプレー。75の通算2オーバーで終えた(22位)後は両手を胸で組み、祈りながら吉報を待った。全組が競技を終え、マネジャーから「賞金王が決まった」と伝えられると、C・キムと出口氏はハグを交わして喜びを分かち合った。

 今季はコロナ禍で来日できず、昨年9月の開幕から3戦に出場できなかった。そんな中、2人は「狙い打ち作戦」で出発した。それまで10月以降に4戦中2勝で「得意なコースが多かった」上に、メジャーなど高額のビッグトーナメントも続いた。2人で話し合い「そこに調子を上げていこう」と後半戦に“狙い”を定めた。「練習日から『チャンスはあるから』とチャンを盛り上げました」。昨年12月の日本シリーズJTカップ、今年10月のバンテリン東海クラシック、同11月のダンロップフェニックスと後半戦に3勝をマーク。「ハマりましたね。狙い打ち的中です」と笑顔で振り返った。

 メンタル面でのサポートも大きかった。出口氏は昨年からスポーツメンタルトレーナーの肩書きも持つ。今季3勝目のダンロップフェニックスの最終日18番パー5。前年の同大会は同じホールで第1打をミスし、左に曲げてボギー。2人で苦い思い出がよみがえったが、ティーグラウンドで「あえて歩測をしたり、水を飲ませて、ひと呼吸置かせました」。冷静になったC・キムは第1打で好ショットを見せ、バーディー。この優勝で賞金ランク1位に浮上し、大きな白星となった。

 今年11月のダンロップフェニックスでコンビ通算3勝目を挙げた。C・キムは「僕と組む前は1人の選手で2勝以上したことがなかったみたい」。節目の勝利の記念に、自身が身につけているものと同じブランド「ロレックス」で、250万円する高級腕時計を「慎ちゃんつけて」とプレゼント。出口氏は「こんなすてきなものをいただいて、賞金王になれないなんて、なしじゃないですか」と発奮。賞金王に決定後は2人で腕時計を見せ合い、喜びをかみ締めていた。

 C・キムは来季も日本ツアーを主戦場にする意向を示した。会見で「来年も一緒に組んでプレーするのが楽しみ」とコンビ継続を示唆。「(性格が)違う感じもいいんだと思います」と出口氏。真逆のコンビが新たな目標に向かっていく。

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