チャン・キム初賞金王 師匠デビッド・イシイ以来米国人2人目「特別な思いがある」


「賞金王」ボードを手に喜ぶチャン・キム(右)と出口キャディー

「賞金王」ボードを手に喜ぶチャン・キム(右)と出口キャディー

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー2020―21年最終戦 日本シリーズJTカップ 最終日(5日、東京・稲城市 東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 重圧から解き放たれ、C・キムから笑みがあふれた。ツアー最多の5人に賞金王の可能性が残った最終戦。最終日を74の22位で終えると、胸の前で両手を組み、祈りながら待った。レースを争った金谷、星野の優勝が消滅したことを伝えられると、19年11月から専属キャディーの出口慎一郎氏(38)らと歓喜のハグ。「みんなサンキュー! 本当にうれしい」と喜びを爆発させた。

 87年のデビッド・イシイに続き、ツアーで米国人2人目の賞金王に輝いた。ジュニア時代にハワイ州で指導を受けた恩師に続く偉業に「彼に次いで賞金王になれたことに特別な思いがある」と感慨深げ。当時から日本ツアーを勧められ、15年に参戦するきっかけになった。「近いうちにハワイに帰って、一緒に祝いたい」と感謝を込めた。

 5年越しの雪辱だった。17年は賞金ランク3位で最終戦に臨んだが、腰痛が悪化して開幕前にまさかの棄権。賞金王の好機を逃した。今年は「けが防止」のため減量に着手。食事の時間を午後1~7時に制限し、好物の450グラムのステーキも我慢。4月に112キロあった体重は95キロに。プレー中の負担が軽減し、コロナ禍で20、21年が統合された異例の長期シーズンを「けがの心配なくできた」と乗り切り、偉業につなげた。

 来季も日本ツアーを主戦場にする。新型コロナの感染状況を見て、世界ランクに反映されるポイントの高い米ツアーにも積極的に参戦する見通し。「世界ランクを上げたい。目指すのは世界一」。ツアー屈指の飛ばし屋は壮大な夢を持ち、これからも戦う。(宮下 京香)

 ◆チャン・キム 1990年3月24日、韓国生まれ。31歳。2歳で米ハワイ州に移住し、米国国籍を保有。12歳でゴルフを始め、2010年にプロ転向。アジアツアーなどでプレーし、14年に翌年度の日本ツアーの出場権を懸けた予選会1位となり、15年から本格参戦。17年に3勝し、19年日本オープンなど通算7勝。19年平均飛距離315.83ヤードでツアー1位。188センチ、95キロ。

 ◆賞金王C・キムの使用クラブ ▽1W=G425MAX(ロフト角9度、45.25インチ、硬さX)▽3W=G425LST▽3I=G425クロスオーバー▽4I~9I、PW=ブループリントアイアン▽ウェッジ52度、56度=タイトリスト・ボーケイSM8▽60度=タイトリスト・ボーケイプロト▽パター=オスロH▽ボール=タイトリスト・プロV1X(52度、56度、60度ウェッジ、ボール以外はPINGゴルフ社製)

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