西郷真央、悲願のツアー初V 20歳の特技は早食い、好物はすし 愛犬「ちろる」の写真も支えに


ツアー初優勝を果たし、稲見(右)に祝福される西郷(カメラ・今西 淳)

ツアー初優勝を果たし、稲見(右)に祝福される西郷(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー開幕戦 ▽ダイキンオーキッドレディス 最終日(6日、沖縄・琉球GC=6590ヤード、パー72)

 20歳の大器・西郷真央(島津製作所)が、悲願のツアー初優勝を飾った。5打差8位から出て、6バーディー、1ボギーのこの日ベスト67で通算10アンダーとして逆転。ルーキーシーズンの昨季は2位が7回と惜しい戦いが続いたが、見事に“シルバーコレクター”を返上し、最終日に失速した昨年大会のリベンジにも成功した。首位タイで出た黄アルム(韓国)が1打差2位となった。

 先にホールアウトし、パッティンググリーンで吉報を聞いた西郷は、同学年の山下美夢有(20)と抱き合い初優勝を喜んだ。「優勝するって思っていなかった。何度も優勝争いをして、まず優勝できて良かったと安心した」と喜びに浸った。

 最終組の渡辺、黄、西村の3人が引っ張る中、2つ前の組で前半に3つ伸ばした。16番で8メートルを沈め1打差に迫り「そこが一番(優勝を)意識した」。17番でカラーから7メートルを沈め、トップに並び右拳を握った。18番パー5は第2打をグリーン左のバンカーに入れたが、ここからピン方向ではなくグリーン奥のラフに出す好判断でパーセーブ。後続が落とし、今季から所属する島津製作所の関係者が応援する中、初タイトルを手にした。

 ルーキーの昨季は2位が7回。何度も勝てない悔しさを味わい、帰りの車で涙を流したこともある。「今となっては全ていい経験」。昨秋の日本女子プロ選手権などロッカールームで落ち込んでいると、先輩でツアー5勝の藤田さいき(36)から「大丈夫だよ。勝てるから」と励まされ、自身の練習を信じ抜いた。

 昨年大会は第3日まで首位を守ったが、最終日の連続ボギー締めで4位に終わった。「17番で去年のことがフラッシュバックしたけど、同じミスを繰り返さなかった」と成長を実感した。ようやく頂点に立ったが、不思議と涙はない。「うれし涙を流せるくらいの一年にしたい」と力を込めた。

 高校時代に尾崎将司(75)のジャンボアカデミーに1期生として入門。「『しっかりやり続ければ結果はついてくる』と言っていただき、気持ちも強くなれた」と感謝した。大会前には、師匠から特製の素振り棒を渡され、練習で使った。将来の海外挑戦を視野に入れる20歳は「2勝、3勝と優勝を重ねられる強いゴルファーになりたい」と、さらなる活躍を誓った。(岩原 正幸)

 ◆西郷真央(さいごう・まお)

 ▼生まれとサイズ 2001年10月8日、千葉・船橋市生まれ。20歳。158センチ。日本ウェルネススポーツ大在学中。

 ▼ゴルフ歴 5歳でゴルフを始め、14年の全国小学校選手権で優勝。父・雄史さんが尾崎将司の大ファンで、麗沢高時代に弟子入り。19年日本女子アマ優勝。同年秋のプロテストに一発合格。昨季は、未勝利ながら賞金ランク4位(1億7899万7891円)で初シード獲得。

 ▼あだ名 西郷(せご)どん。

 ▼愛犬 20年は小型犬「ちろる」の写真をヤーデージブックに貼って、苦しい時に支えられた。

 ▼趣味・特技 お笑い観賞、早食い。好物はすし。

 ▼憧れ ツアー通算50勝の不動裕理。

 ▼家族 両親と姉。

 ◆生涯獲得賞金2億円 西郷が20歳149日で突破し、宮里藍(05年日本女子オープン)の20歳105日に次ぐ、歴代2位の記録となった。

師匠・尾崎将司の祝福コメント「西郷(せご)どん、優勝おめでとう。何と言ってもゴルフに対する考え方や取り組み方が優等生で、プロの中でもゴルフ頭脳はトップではないかと思う時がある。今回の優勝では2位にはない副賞がたくさんもらえる喜びを知っただろう。早めの2勝目を期待する」

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