中島啓太はマスターズで日本人2人目のローアマ獲得に挑戦 「自分をしっかりと持って信じてプレーできれば」


マスターズの招待状を手にする中島啓太(日本ゴルフ協会提供)

マスターズの招待状を手にする中島啓太(日本ゴルフ協会提供)

 男子ゴルフの2022年メジャー初戦、マスターズは4月7日から4日間、米ジョージア州オーガスタナショナルGC(7510ヤード、パー72)で開かれる。アマチュア世界ランク1位の中島啓太(日体大3年)は、11年大会の松山英樹に続く日本男子2人目のローアマチュア(アマ最上位)獲得に挑む。

 昨年11月、アジア・パシフィック・アマチュア選手権をプレーオフの末に制した。11年&12年の松山、19年の金谷拓実に続く日本人アマ3人目のマスターズ切符を手に入れた。大会中のインタビューや表彰式では「勉強中です」という英語に積極的にトライし、海外の関係者からも拍手を浴びた。20年11月からアマ世界ランク1位に君臨しており、必然的に今大会もローアマ獲得有力候補に名前を挙げられている。

 周囲の喧騒をよそに、実直な本人は静かにその時を待っている。「とにかく自分がしてきた準備を、100%マスターズで発揮することに集中して頑張ってきたい。自分を信じて、支えてくれるチームを信じてプレーできたら、目標を達成するかなと思います」。アトランタ郊外で時差ぼけ対策なども積むべく、今月27日に早々と決戦の地へ向けて日本を飛び立った。

 178センチ、76キロ。心、技、体いずれも総合力が高い。ラウンド中はポーカーフェースで、冷静に頭脳的なマネジメントを徹底する。ショートゲームにも穴は無く、精度の高いショットを武器に我慢合戦、伸ばし合いといずれの展開にも対応できる。昨年9月のパナソニックオープンでプレーオフの末、日本ツアー史上5人目となるアマチュア優勝を飾った日本期待の逸材だ。今年はマスターズ、6月の全米オープン、7月の全英オープンと日本人アマでは初となる同一年で3つのメジャー出場権を持っている。

 既に世界からの注目度も高く今年1月には、タイガー・ウッズ(米国)らが契約する大手スポーツマネジメントの「エクセル・スポーツ・マネジメント」と契約を締結した。今大会前最後の実戦となった1月の米ツアー、ソニーオープン後は国内でスイング改造に取り組み、小技を磨き、トレーニングに時間を費やしてきた。「より安定感を求めたスイング。ショートゲームは自分の課題なので引き続き」と振り返る。

 今大会には、アマチュアのナショナルチームで指導を受けるガース・ジョーンズヘッドコーチ、栖原弘和トレーナーらも帯同予定だ。「(マスターズでキャディー経験を持つ)コーチからはコースの情報をもらっています。ドローボールが必要なのは4、5ホール。あとは自分の持ち球(フェード)で戦えるというアドバイスを頂きました」と、過去の大会の映像も見ながらホールごとの対策も練ってきた。

 オーガスタナショナルGCは、大勢のパトロン(観客)が詰めかける世界一美しいコース。世界中のゴルファーにとって、誰もが憧れる夢の舞台だ。昨年のマスターズ。松山が日本男子メジャー初優勝を遂げる雄姿をテレビの前で食い入るように見つめ、心が震えたという。「今年は自分がプレーする、というイメージを持ちながら頑張っています。雰囲気に飲まれないように、自分自身をしっかりと持って、信じてプレーできればいい」と中島。将来楽しみな日本の若武者が深緑の森で、自身初のメジャーを迎える。

 ◆中島 啓太(なかじま・けいた)2000年6月24日、埼玉・加須市生まれ。21歳。6歳でゴルフを始め、東京・代々木高3年時の18年のオーストラリアアマ選手権で日本人初優勝。18年アジア大会個人&団体金メダル。日体大に進み、日本男子3人目の世界アマランク1位。21年の日本アマチュア選手権で優勝。178センチ、76キロ。家族は両親と2姉。

 ◆アジア・パシフィック・アマチュア選手権 主催はアジア・パシフィックゴルフ連盟。オーガスタナショナルGCとR&Aが共催して2009年から開催され、20年はコロナ禍で中止。優勝者に翌年のマスターズと全英オープン出場権、2位にも全英オープン最終予選切符が与えられる。10、11年大会を松山英樹が連覇。18年大会を金谷拓実が制した。

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