大里桃子が単独首位発進 課題パットに5種の握りで対応「久しぶりにいいダッシュが切れた」


初日6アンダーで首位に立ち、ピースサインでホールアウトした大里桃子(カメラ・今西 淳)

初日6アンダーで首位に立ち、ピースサインでホールアウトした大里桃子(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー 報知新聞社特別協力 富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 第1日(8日、埼玉・石坂GC=6475ヤード、パー72)

 ツアー通算2勝の大里桃子(23)=伊藤園=が今季自己最少66をマークし、6アンダーで単独首位発進を切った。6バーディー、ボギーなしで回った。武器のショットが復調し、課題のパットでは5種類の握りを駆使してスコアを作った。昨年大会覇者・稲見萌寧(22)=Rakuten=は69で今季自己最高の4位発進。3週連続Vに挑む西郷真央(20)=島津製作所=は71で27位だった。

 大里が“引き出し”を全開で絶好のスタートだ。1番でグリーン手前バンカーからの第3打がオーバー。「パーでもいいや」とクロー(左手首を固定し、右手は添えるだけ)の握りで打ったら4メートルが入り、幸先良くバーディーを奪う。池越えの16番パー3では第1打をピン右4メートルにつけるこの日6つ目のバーディーで伸ばした。昨年9月以来の首位発進に「久しぶりにいいダッシュが切れた」と笑顔がはじけた。

 パターは工夫を凝らす。18年のJLPGAツアー選手権リコー杯で30センチのパットを外したことで、19年前半からパターが思い通りに打てなくなった。2勝目を挙げた昨年はシャフトを3インチ伸ばすなど試行錯誤。18番では奥から下りのファーストパットを順手で打ち、約1メートルはクローで入れた。クローでは指を置く位置を変えたり、計5種類の握りを駆使した。「(握りは)フィーリングで決めている。思ったところに打てればいい。今日は入ってくれた」とうなずいた。

 武器のショットもさえた。前週のヤマハレディース(29位)までは「1クラブ分」距離が落ちていたが「つかまるようになって思った球筋が打てた」と感覚を取り戻し、パーオン率は全体トップの約89%と安定した。また、昨オフに初めて週に1度のペースで体幹や下半身を中心としたトレーニングを開始。3年ぶりに優勝し、「昨年はショットが安定したから、もっと(成果が)出るかな」と今オフは週2度に増やし、より精度を高めてきた。

 昨年は5月に2位、2位、優勝、2位、2位と毎週優勝争いに加わった。日本女子プロゴルフ協会の公式サイトでは「ミス・メイ」と呼ばれ、ファンにも親しまれている。「皆さんに覚えられていい反響だった。今年も印象づけられるプレーをしたい」と大里。得意の5月が近づき、上昇気流に乗る。(宮下 京香)

 ◆パターの主な握り方 右打ちの選手は通常の右手が下、左手を上にして握る順手。逆に左手を下にして握るクロスハンドグリップ(逆手)。左手はそのままで、右手の甲を前に向けて指で挟むようにして握るクローグリップなどがある。クローグリップは左手首を固定するのが目的。

 ◆大里 桃子(おおさと・ももこ)1998年8月10日、熊本・玉名郡生まれ。23歳。8歳でゴルフを始める。熊本国府高3年時の2016年、九州ジュニア優勝。18年7月に2度目の挑戦で合格。翌月のCATレディースでツアー初優勝。昨年5月のほけんの窓口レディースで2勝目。名前の由来は女優の菊池桃子。171センチ、60キロ。家族は両親と兄。

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