畑岡奈紗  5打差圧勝で米ツアー6勝目「黄金世代」エースの貫録 悲願メジャー制覇へ弾み


畑岡奈紗

畑岡奈紗

◆米女子プロゴルフツアー DIOインプラント・LAオープン 最終日(24日、米カリフォルニア州ウィルシャーCC=6447ヤード、パー71)

 4差の単独首位から出た畑岡奈紗(アビームコンサルティング)が通算15アンダーで今季初、日本勢最年少23歳で通算6勝目を挙げた。1イーグル、4バーディー、2ボギーの67で回り、2位に5差をつける圧勝劇で賞金22万5000ドル(約2900万円)を獲得した。優勝は昨年9月以来で、日本女子の勝利数では歴代3位。最多17勝の岡本綾子、2位の宮里藍の9勝に近づいた。1998年度生まれの「黄金世代」のエースは、残り4戦で今季の最大目標「メジャー初制覇」へ弾みをつけた。

 畑岡が18番で30センチのボギーパットを沈めると安堵(あんど)の表情を浮かべた。母・博美さんや先に上がった古江彩佳(21)らからウォーターシャワーで祝福されると「冷たい!」と笑顔がはじけた。「自分を信じてやってきて良かった。このタイミングで優勝できたのは大きい」。インタビューは英語で応じ、喜びを表した。

 後続を寄せ付けない圧勝劇だった。1番で8メートルの大きく右に曲がるバーディーパットを沈めると独走態勢。6番では6メートルのボギーパットを強気に決めてしのいだ。勝利を確信したのが、4打差の首位で迎えた15番パー5だ。2オンし、段の上から10メートルのイーグルパットをねじ込むと、右拳を振り下ろした。「ここでホッとして。残り3ホールはリラックスできた」。18番はボギーとしたが、終わって見れば後続に5打差と圧倒した。

 今季はここまで8戦でトップ10はなく、前週のロッテ選手権は予選落ちと調子が上がらなかった。今大会中も初日2位発進の後「納得度は20%」とし、武器のアイアンでは立ち位置を調整するなど試行錯誤が続いた。最終日は好調のパットに加え、4番で2メートル、7番では1メートル弱と好機を作り「やっと安定してできた」。もがいた成果に納得顔だ。

 男子の強者、ツアー13勝のジョーダン・スピース(米国)から勇気をもらった。4月のマスターズで予選落ちの翌週、RBCヘリテージで優勝。その姿を自身と重ね「ゴルフは何が起こるか分からない」と強い気持ちを思い出した。

 17歳の時、16年の日本女子オープンで史上初のアマチュアで国内メジャー初優勝。そこから98年度生まれ“黄金世代”の先頭を走ってきた。今季メジャーは6月2日開幕の全米女子オープン(ノースカロライナ州)を含め残り4戦。世代を率いる畑岡は「まだメジャーも残っている。自信を持って次に挑みたい」と悲願の達成へ思いを強めた。大型ロケットの打ち上げ準備は完了した。

 ◆ちょっといい話 畑岡は高校2年生だった2015年からアマチュア日本代表(ナショナルチーム)入りし、早い段階から国際経験を積み重ねた。ガレス・ジョーンズ・ヘッドコーチ(オーストラリア)の縁で、米ヒューストンで行われたオーストラリア・チームの合宿に単身で参加したこともある。その時に、同部屋だったのが今回最終日最終組を回った2位のハナ・グリーン(25)だった。後に全米女子プロ選手権(19年)でメジャー覇者となった盟友。この日はライバルを寄せ付けずに圧倒し、自身も初メジャー優勝に近づいていることを感じさせた。(岩原 正幸)

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