ジュニアゴルフ世界メジャーの世界ジュニア選手権女子9・10歳の部(12~14日、米カリフォルニア州サンディエゴ・シンギングヒルズゴルフリゾート)で17位に終わった須藤弥勒(ゴルフ5)が18日、キャディーを務めた母・みゆきさんと共に帰国した。成田空港で出迎えた父・憲一さん、兄・桃太郎君、弟・文殊君と約1か月ぶりに再開。「お父さん、お兄ちゃん、弟と会えて本当にうれしいです」と弥勒は満面の笑みで話した。
この2か月で弥勒は、栄光と挫折の両方を味わった。6月にジュニア欧州選手権(英国スコットランド)で2位に12打の大差をつけて圧勝し、史上初のジュニア4大メジャーのグランドスラムを達成。「天才少女」と呼ばれるにふさわしい強さを見せた弥勒は、自信を持って米サンディエゴに乗り込み、世界ジュニアで4年ぶり3度目の優勝を目指したが、優勝と17打差の17位で大敗した。
「スコットランドで優勝し、天国に昇るような気持ちになりましたが、サンディエゴの大敗で奈落の底に落とされたような気持ちになりました。競技は本当に大変なんだな、と感じました」と弥勒は浮き沈みの激しかった2戦を振り返った。
今年1月にアマ資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったため、抜群の実力と存在感を持つ弥勒のもとにはオファーが殺到。その中で、ゴルフ専門店の「ゴルフ5」と所属契約、並びにマネジメント契約を結ぶなど、計11社・団体とスポンサー契約を結んだ。これまで以上に注目度が増す中、世界ジュニアで敗れたことで、心ない批判が10歳の少女の耳にも届いたという。
「期待された中、勝てずに一日だけ、へこみました」と正直に明かす。弥勒を立ち直らせたのは、父・憲一さんが尊敬するサッカーのキング・カズ(三浦知良)の名言だった。
「サッカーが大好きな、お父さんにカズさんのすごい言葉を教えてもらいました。『活躍した時、スポーツ新聞の一面になるのは当たり前。負けた時に一面になる選手が本物だ』と。褒められることも、批判されることも前向きに考えるということですよね。将来、カズさんのような本物のアスリートになれるように頑張ります」と弥勒は目を輝かせて話した。
家族とつかの間の休息を取った後、須藤弥勒は次の目標のためにクラブを振り続ける日々を再び始める。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。10歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導で成長を続けている。17、18年に世界ジュニアゴルフで連覇し、頭角を現す。現在、ドライバーの飛距離は220ヤード。家族は父、元フィギュアスケート選手の母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。145センチ、52キロ。